Win the Big Match

2004年刊行。160ページ。
シングルダミー問題集ですが、設定がおもしろいです。
チーム戦形式で、ぎりぎりのビッドをして難しいハンドをメークするか、あるいはオポのビッドをダウンさせるかの勝負形式になっています。全体で64ボード=64問ということで、8ボード毎に裏ペアの成績と比較して点数をつけていくようになっています。巻末にはIMPスコアリングの成績表(書き込み形式)がついています^^
カードが配布されてビッドから始まり、ビッドの考え方も述べられていて勉強になります。
何ボードか紹介します。

ボード31.NSバル ディーラーSouth(あなた)

 South(あなた)のハンド
  J4 T762 AKQTJ6 

ビッド
 Southのあなたは1でオープン。オポはだまったまま。パートナーのPatは1のレスポンス。ここでリビッド。Terence Reeseはこういう場面で「良いハンドのときに悪いスートは紹介するな」と言っている。そこで3とりビッド。Patは3。ここで4と続けるかどうかだが4とビッド。ここでPatは5。キュービッドでファーストラウンドコントロール。スラムのチョイスを示唆されて、あなたはを選択して6をビッド。これがコントラクトとなった。
OLはJ。ここでどういう方針でプレイしますか?
   North
    AK7532
    AQ4
    73
    Q7

   South
    J4
    T762
    AKQJT6
    

答、考えられる一つの方法は、1順目をAで勝って、トランプを刈って、A,K,ラフとやって、が3−2ならメーク、が4−1ブレークならフィネス。通ればメーク、抜ければ、LHOがJ9かJ8なら3順目に7でフィネスしてメークという方法。
 しかし、よりいい方法がある。最初にを負けるという方法だ。これによって、が4−1ブレークでもメークする。その際の注意点はRixi Markusが言っているように「ダックしようとするときには高いカードでダックすべし。」なのでを刈ってハンドからJを出すのが正解。もしLHOがQをかぶせてきたら、最初の方法で。JをRHOが勝たせられたら、を返せないので安全にメークする。全体のハンドは下図。
AK7532
AQ4
73
Q7
QT96
J85 K93
9842
JT852 K9643
J4
T762
AKQJT6
スコア合わせで:オポーネントは1−1−3−3−4−4NT−5−6となって4のOLで1ダウン。△100。
したがって、このボードあなたが6をメークできれば16impの獲得。落とせば引き分け。
 比較的簡単なボードですが、エキスパートの格言が2回も出てきますので紹介しました。

ボード40.ノンバル。ディーラーWest

 South(あなた)のハンド
  Q7 J QT85 AKQ962

ビッド
 LHOが1でオープン。RHOが1NT。あなたは2でオーバーコールを入れる。RHOは2とリビッド。でパス−パスで流れてきた。どういうバル状態でもここで売り渡すのは論外。オポは8枚フィットしているかもしれず、2の代でのディフェンスはしたくない。すると、ここでは3と言うか、ダブル、2NTの選択となる。ダブルにはあまりにディフェンシブバリューがないので2NTを選択。パートナーが3。でこれが最終コントラクト。
   North
    9842
    Q985
    A43
    74

   South
    Q7
    
    QT85
    AKQ962

Westはトップを2枚キャッシュ。全員フォロー。ここでAを取って3枚目のをリード。これをJ−6とハイローシグナルをだしていたEastが10でラフ。ここで、どうプレイしますか?

答、すでに3敗して、もルーザー確実。なので、この4順目を負けるわけにはいかないのでオーバーラフして2順目以内にJが落ちることを願うしかない。
 本当の問題は、を1ルーザーに抑えること。LHOがすでにA,KとAを持ってることがわかったことから、1NTレスポンスのRHOがKとKを持っている可能性は高い。ともあれを2回回すと全員フォローした。RHOはJを持っている可能性がある。ここでRHOが5枚とするとJをシングルトンで持っている可能性があるのでAでダミーに入ってTでフィネスできる。しかしRHOが5−5ならRHOは3に3とオーバーコールしていただろう。そうでなかったということはRHOは5422のディストリビューションの可能性が高いと見る。 ここでRHOがJ9のダブルトンならプレイは簡単。しかし、Jとスモールのダブルトンでも1ルーザーで済ませるには?
 を1枚残して、を回した後、ハンドからQを流すのが正解。RHOがKで取れば、次にAでダミーに入るときにLHOからJが落ちてきて、ハンドのT8でフィネスして全部取れる。
9842
Q985
A43
74
AKT53 J6
AT42 K763
J6 K972
J5 T83
Q7
QT85
AKQ962
スコア合わせで:裏ではさらに競って、味方が3で買い取って1ダウン。したがって、あなたが3をメークすれば2impの取り、落とせば3imp失うことになります。
 Pottageの問題に特有のカードコンビネーションの問題です。こういう問題が結構散りばめられていて、とても勉強になります^^



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