1980年刊行。125ページ。
確率に関するいろいろな考え方、テクニックがまとめられています。σ(^_^)にはとっても参考になりました。ponさんやmashimoなどのその道のプロには当然のことかもしれませんが^^
全体で10章構成です。
第1章 基本
第2章 オポーネントのカードのディストリビューション確率
第3章 パーセンテージプレイ
第4章 チャンスを組み合わせる
第5章 複数の手段(オプション)の確率を考える
第6章 確率の変化
第7章 ベイカント・プレイス(空き地理論)
第8章 選択の自由(リストリクティッド・チョイス)
第9章 選択の自由のバリエーション
第10章 すべてをふりかえって
少し紹介します。
第1章「基本」
ここでは、ハンドパターンの確率が載っています。
4432:21.55%
5332:15.52%
5431:12.93%
5422:10.58%
4333:10.54%
この5パターンで70%を超えています。4432が4333の2倍以上確率が高うというのも興味あるところです。
第2章「ディストリビューション」から
AJT 432
AQT 432
いずれの組み合わせも、ダブルフィネスで2トリック以上取れる確率は76%。ダブルフィネスが極めて有力な手段であることが分かります。
第3章「パーセンテージプレイ」から
AKJT9 643
この組み合わせ、オポーネントがQ頭の5枚スートのときは「Q」に対してまずフィネスするのが普通は正しい。しかし、この場合はまず「A」をとってみて、次に「9」でフィネスする方法がわずかに勝る。LHOが5枚とも持っている確率は2%であるのに対してRHOがシングルトンQを持っている確率は2,8%だからである。この0.8%の差が長い目で見れば成績に差がつくもとになるとのことです。
A872 QT94
この組み合わせで3トリック取る最も確率の高い方法は、ダブルフィネス。Tを出してLHOがローならそのまま流す。次に9を流すです。RHOがKJ,KJx、KJxxのときのみ失敗で成功確率は78%。最初にTでなくQを流すのはRHOが5枚とも持っている場合に失敗するので2%劣る。また、最初にAを取ってQに向けてリードする方法は、LHOがKJ,KJx、KJxxの場合のもならず、Kx,Jxの場合にもゲスを迫られるので確率は劣る。
第4章「チャンスを組み合わせる」から
QT43
974
T3
AJ82
AKJ95
6
AKJ9
KT5
コントラクトは6。Eastが
QをOLして
を続け、これをラフ。
は2−2ブレークで2回で刈りあがった。さてここで?
原則は「長い方のスートのアナーをキャッシュしてから、短い方のスートをフィネスする」こと。
AKをまずキャッシュして
フィネスする方法
Qがシングルトンかダブルトン 19%
フィネスが成功する(81%X50%) 40%
計59%
AKをまずキャッシュして
フィネスする方法
Qがシングルトンかダブルトン 10%
フィネスが成功する(90%X51%) 46%
計56%
第5章「オプションに気をつける」から
JT3
AQ
QT63
QJ72
K94
986
AK5
AT94
コントラクトは3NT。OLは6。ダミーから
J。Eastからは
2。さてここで?
フィネスが成功すればメーク、しかも抜けても安全なWestに入ることになるので、2順目
フィネスをしそうである。しかし、抜けたときのことを考える必要がある。
フィネスが抜けた場合、Westは
をリターンしてくるだろう。あなたはここで決断を迫られることになってしまう。
Aで取った場合、
で4トリック取れるならメーク(
3−3、
Jがドロップ。Eastがボイド)。その確率は、
フィネス成功50%+
フィネスが失敗したが
で4トリック30%(50%X60%)=80%となる。
より確率を高めるため方法は、フィネスの前にまず
を試して見ることである。最初の方法との違いは、仮に
フィネスが抜けて
がWestから返ってきたとき、フィネスして2トリック
で取る必要があるかどうかをその段階で知っていることである。
で4トリック60%+
フィネス成功20%(40%X50%)+
フィネス成功10%(残り20%X50%)=90%となる。
第7章では「ベイカント・プレイス(空き地理論)」について詳しく述べられています。
これは、「あるスートのディストリビューションが完全に分かっている場合、他の特定のカードをオポーネントのどちらかが持っている確率は、残りのそれぞれの枚数による」というものです。
そのスートのブレーク自身にも応用できるとあります。
AKT4
Q73
この組み合わせで、K、Qと取ったところ双方フォロー。3順目の
のときLHOがフォロー。ここでフィネスするかドロップを狙うか。Westは3枚カードを出していますから残りは10枚。Eastは2枚出していますから残りは11枚。したがって、3順目にEastから
Jがドロップする確率は11対10=52.4%だというこになります。当初の4−2ブレークと3−3ブレークの確率からは変化することに注意が必要で、残り2枚が1−1か2−0かというのに近づいています。
第8章ではリストリクトチョイスの考え方が詳しく述べられていて、空き地理論と併用することで確率計算が実践の場で正確にしやすくなるようになるようです。
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