Develop Your Bidding Judgment

1962年刊行。192ページ。古い本です。
しかし。ここに書かれているビッドの考え方は、「コモンセンス」を養うにはとてもいい本だと思います。
冒頭で、この本ではビッドシステムの適切な使用によって解決できる75%のハンド以外の、残り25%のハンドの取り扱い方について解説するものであると書かれています。
解説の手法は、ちょうど「Play Bridge with Reese」と同じように「over-the-shoulder」という方法で、Reeseの自戦解説風になっており、何をどう考えるべきかということがはっきり分かります。
全体構成は
Part1−Problems in Constructive Bidding
Part2−Doubles--Competitive,Co-operative and Crass
Part3−Tactical Moves
Part4−Making Progress
Part5−Competitive Decisions
Part6−Protective Situations
Part7−An Element of Surprise
となっています。
いくつか紹介します。

Part3「A Practical Illustration」から
 チーム戦でNorthのパートナーがディーラー。オポがバル。
 私のハンドは、QJ932 _ JT42 8643
 Northが1オープン。RHOが1とオーバーコール。さて、ここでどうビッドすべきか。

選択肢はパス、1、2の3つ。さて?
 まず2はどうか。後に4まで競り合いになったとき、パートナーがオポの4に対してディフェンスレスなハンドの場合はうまくいくが、パートナーのが強かった場合には4を守った方が良かったという結果になる。
 では1はどうか。競り合いのオークションでを安全に示せるラストチャンスであり、パートナーがを持っていなければフィットを示さず守りに回ればいい。しかし、オポにで競り合われて高い代でサポートを示すと、パートナーがあなたのディフェンスのバリューを誤解して4にダブルをかけてくるかもしれない。
 ではパスは。オポはおそらくで競ってくるだろう。そのときに、で競れるかどうか判断すればいい。を示せなくなることは重要ではない。をコントラクトにした方が明らかに多くトリックを稼げる。しかし、他方でパスして代が上がってからは判断も難しくなるかもしれない。
採点: パス・・・10
    2・・・8
    1・・・4
これがクイズとして出題されたとき、多くのプレイヤーは2に投票した。しかし、その2年後オリンピアードでアメリカ対ブリテインの試合で、Q8752  J9754 Q32というハンドで、Southのパスからはじまって、パス−パス−1−1−1とビッドして、4まで競りあがったときSouthは5とビッド。オポがダブルしてもう一方のオポが5。でNorthがダブル、オールパス。で、この5がメークした。Southはパスか2とビッドしておけば,もっと状況をよく判断できて6でサクレたのだった。

Part3「A Little Rope」から
 ペア戦。ノンバル。パートナーが1オープン。RHOはパス。
私のハンドは、KJ962 _ 975 KT862
私は1とレスポンス。LHOパス。Northのパートナーは2。RHOパス。さて、ここでどうするか。

選択肢は、3、3、2、パス。さて?
考慮事項その1:ゲームの可能性は?
 のコントラクトでは9〜10トリック取るのが精一杯と考えられる。のオーバーコールがないということはNorthはを4枚持っていると考えられる。しかし、分かれ具合とエントリーの具合でを3回私の方でラフできるとは考えにくい。また、オポは遅かれ早かれをリードしてくるだろう。ただ、他方でゲームは可能かもしれない。パートナーの黒いスートのどちらか一方がボイドかシングルトンAであれば。ここで3とビッドすることはできる。そしてそれは2や3よりは良い。
考慮事項その2:戦略的ビッドをする必要があるのか?
 より重要な考慮事項である。2をパスしてもなおさらなるチャンスがあるのだから。パートナーの強さの上限は2ではっきりしている。またオポは9〜10枚のフィットをしている。でWestの方が疑いなく強いハンドのはず。Eastは1のときにオーバーコールできたはずなので。したがって私が2をパスした場合、Westがダブルか2と言う可能性は極めて高い。それを防ぐために私はここで3とプリエンプトする必要があるか?
もし、パートナーがx KQ9x AQJxxx Jxといったハンドを持っていれば2をパートナーはパス。でオポがもし4までいったら格好のペナルティーチャンスになる。で、もしパートナーが2の後すぐにダブルしたら、私は3とテイクアウトできる。またパートナーが2に自分で3と言ったら、さらなる3に私は4と言える。オポが墓穴をほる可能性、さらにいろいろなケースにわが方がビッドをつなげられる可能性があるのでパスがベターとなる。
採点: パス・・・10
    3・・・6
    3・・・2
    2・・・1
さらなる考察
 注意すべきは、でオポがオーバーコールして競ってくる可能性があっても、その分れが悪くてオポはいいコントラクトにならないことが分かっているからパスできるというkとである。もし私のがxxとかxxxであれば話は違ってくる。
 Axxxx xx HJx xxx
こういうハンドであれば、ゲームの可能性もなさそうでレイズする価値もないが戦略的に3というべきハンドということになる。
この原則はプリエンプティブオープンにも適用できる。
(a)xx AQJTxxx Txx x
(b)_ AQ98xxx T98xx x
この2つのハンドを比較して、(a)ではできるだけ高くプリエンプティブオープンする必要があるのに対し、(b)は急がず、他のビッドをまず聞く余裕があるということになる。
(^_^)3 フムフム なるほどぉ^^

Part5「The Pressure Call」から
 ペア戦。Weバル。パートナーが1でオープン。RHOパス。
私のハンドは、AJ65 KJ864 83 J7
私は1とレスポンス。Westが1とオーバーコール。North2、East2。さて、ここで?

選択肢は、3、2NT、ダブル、パスの4つ。さて?
 最初に考えることは、どちらがどういうコントラクトをメークしそうかということである。まず2はダウンする可能性がある。ダブルをかけて100。2NT,3がメークするなら、2をプレイさせる方が結果が悪くなるかもしれない。
 次にのコントラクトはどうか。もし、ビッドがわが方だけで1−1−2となったのであれば私は2はパスするだろう。しかし今のビッドはNorthがWestの1にフリービッドで2と言っている。しかもバルで。したがって、Northはおそらくミニマムではないハンドで、かつ良い6枚のを持っているにちがいない。3がメークするかどうかはフィネスの可否にかかっているかもしれないが、Jも有効に働きそうでメークする可能性も高そうだ。
 2NTはあまり期待できないコントラクトだ。のOLがきてRHOのQによってAが追い出された後、急いでトリックを取らなければならなくなる。2NTができるカード配置なら3もメークするが、その逆はあてはまらないからだ。以上、様々なカード配置の場合にどういうコントラクトができそうか考えてみたが、それを踏まえて、さらに戦略的なビッドの可否について見当してみる。

 パス:間違いではないし、上手でないパートナーと組んでるラバーなどの今回とは別のセッティングでならあり得る選択肢である。しかし、ペア戦ではこのようなボーダーラインのハンドはもっと競り合わなくてはならない。50点は悪いスコアになる。
 2NT:戦略としては正当である。パートナーはまずいと思えば3、3に戻せる。マイナス面は、オポに3と競り合う気をなくさせてしまうかもしれないということと、もしあえて3と競り合ってくるときはオポはカード配置を知ってしまっているということである。
 ダブル:私の好みに近い。しかし、自分のハンドでビッドできる限界を超えるまではペナルティーダブルはかけない方がいいという原則を破ることになる。ただ、もしオポがバルなら1ダウンで200点になるので危険ではあるがあり得る選択肢と言える。
 3:マイナス面があるとすれば2をダウンさせられるのに3がダウンしてしまう場合があることである。しかし、カード配置が悪くて3がダウンするなら2は逆にメークする可能性が高い。また3は2NT以上に競り合いを誘発するというメリットがある。3枚のを持つオポーネントはパートナーはシングルトンと見て競り合ってくるかもしれない。そして、オポが3と競り合ってきたときこそダブルをかけて2ダウンの300点を取るチャンスにもなる。

採点: 3・・・10
    2NT・・・6
    パス・・・5
    ダブル・・・2
さらなる考察
 3ビッドは、ディフェンシブなハンドでは競り合いすぎるなという一般原則に反しているように見える。しかし、その原則はハンドがオポーネント側に属している場合に当てはまるものであることに注意する必要がある。たとえば
 Tx QTxxx Kxx J9x
こういうハンドで同じような競り合いになった場合、3とビッドしてもオポーネントはが強くないのですぐにはダブルはかかりにくいので、その心配はない。しかし、あなた方側は点が優勢ではないので、結局オポーネントが最終判断を下すのに助けになるだけである。
などと興味深い記述が次々と続きます^^



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