False Cards

2003年刊行。215ページ。
フォールスカードという題名の本であるにもかかわらず、マイク・ローレンスさんは、冒頭で、あまり気にしない(多用しない)ことが最大のアドバイスである。ブリッジはパートナーシップのゲームなので、フォールスカードによって何回か成功したとしても、パートナーシップを破壊することによって失われるものの方がはるかに多いからと書いてあるのもおもしろいところです。
全体構成は
第1章 OLでのフォールスカード
第2章 ディフェンスでのフォールスカード
第3章 トランプスートでのフォールスカード
第4章 持ってることがばれてるカードのホールド
第5章 さらなる義務的(自動的)フォールスカード
第6章 エントリーを作るためのフォールスカード
第7章 その他のフォールスカードを行う状況
第8章 1トリック目のフォールスカード
第9章 トランプスートでのフォールスカードその2
第10章 プレイ途中でのディクレアラーのフォールスカード
いくつか紹介します。

第1章「シークエンスからのアブノーマルなリード」から
 コントラクトはSouthの4 Westのあなたのホールディングは
 QT54
 QJ8
 
 AJT85
さて、ここで何をリードしますか?
まず、は論外。も論外。ナチュラルなトランプトリックが見込めるのにラフする意味はありません。
は危険。待ってればで2トリック取れるかもしれません。
がここでは最適なリードに見えます。問題はパートナーがのアナーを持っている可能性が少ないということ。そこで、Jをリードします。実際のハンドは
J932
AK62
K975
6
QT54 7
QJ8 753
3 JT862
AJT85 Q942
AK86
T93
AQ4
K73
デクレアラーは、JをAで取って、Kに向けてダミーからリード。それをAで取ったあなたは、3トリック目8をリードします。これをフィネスしている余裕のないデクレアラーはKで取ります。1ダウン! なるほどぉ^^

第2章「機械的(自動的)フォールスカード」から
    A82
 K      T
    Q76
Eastが自動的(Mandatory)に「T」か「9」そ出さなければなりません。これによって、Southは全体を
    AJ87
 K43     T9
    Q765
であると判断して、ハンドに戻って「Q」を出すかもしれないからです。もし、あなたが漫然と「4」を出したら
    A82
 K      T9
    Q76
デクレアラーは、ここで「A」をキャッシュするしか選択肢がなくなってしまうからです。あなたは、デクレアラーに別の選択肢を考えさせるためにフォールスカードをしなければならないわけです。
(^_^)3 フムフム

第2章「パートナーを助けるフォールスカード」から
事例1.
ノートランプのコントラクトで
    ダミー:864
OL:3       あなた:QJT
 このとき、Tをプレイするのが通常のプレイでほとんどの場合それが正しいプレイです。
唯一の例外は
    ダミー:863
A973       あなた:QJT
    デク:K
ここでパートナーから4thベストの3がきたとき、あなたが通常どおり「T」を出すとデクが「K」で勝ちました。この場合、オープニングリーダーから見てデクレアラーは「KQx」かもしれないと考えるかもしれません。こういう場合「J」を出しておくと、あなたが「Q」を持っている可能性はより強く見えて、パートナーは比較的安心して次にローをリードしやすくなります。

事例2.
A82 ビッド
W  N  E  S
   1C 1S 2H
P  4H P  P




OL:
QJT2
K3
KJ87
T7 KQJ963
A6 3
J97642 AQ8
962 T43
54
K98754
T5
AQ5
WestがTをOL。ダミーのAが勝ちます。このときEastはどのカードを出すべきか。
Eastの選択肢として、Kはスートプリファランス(シフト)としてプレイできます。あるいは3をノンカモン(他のスートへのシフト要求)を出すこともできます。
ここで、Eastが絶対してはならないことは「9」を出すことです。これはカモンシグナルになります。Eastが欲しいのはスートであって、スートではないからです。
これは実践でもすぐに使えますね^^

まだまだ続きますが、こういうプレイがあることを知っておくだけでも価値があると思います。



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