The Art of Card Resding at Bridge

1973年刊行。273ページ。
カウントをベースにしたカードリーディングの仕方、重要性について具体例をもとに解説がなされています。
内容的には、そう難しくはありません。中級クラスの方がおさらいをするのに最適といった感じでしょうか。
全体構成は
1.ハンドをどうやってカウントするのか
2.勝敗を分けるカウント
3.トップレベルのカウント実践例
4.単純なハンドから複雑なハンドまで
5.カードリーディングの次の局面
6.シングルトンKを落とす
7.競り合いのビッド
8.古典的なカードリーディングハンド
9.ディフェンス:カウントとカードリーディング
10.ディフェンス側がビッドしていない場合のディフェンス
11.双方ビッドしている場合のディフェンス
12.ディフェンス側のカードリーディングの失敗例
13.デクレアラー側のカードリーディングの失敗例
14.ルールオブ11
15.観察、ヒアリング、ジャッジの適切な方法
となっています。
いくつか紹介します。

第7章「Deal 10」から
Q7 ビッド
 S   N
 1H  3H
 4NT 5D
 6H


OL:
Q7
A985432 A843
K75 7
5
J863 KT942
7
JT9843 Q
KT2 Q87643
A5 A5
KQJT6 KQJT
A62 6
AJ9
このハンドは、@ハンドをカウントする能力、Aパーセンテージプレイの知識、Bエンドプレイのノウハウ、この3つが分かってはじめてメークできるハンドであるとして紹介されています。
OLのJをダミーのKで勝ったとき、RHOからQが落ちてきた。この段階で、Westが6枚、Eastが1枚であると推測できる。2順目9でトランプを刈り終える。3順目、ダミーの5→A。4順目9をダミーでラフ。5順目Aでハンドに戻って、6順目Jをダミーでラフ。RHOからKが落ちてきた。ここで上右図。さて、どうするか。
Westは6枚、最低3枚、0枚。なのでは4枚以下とカウントできる。したがってEastのは5枚以上ということが分かる。すると、KはWestよりEastの方が持っている確率が高い、ここまでは分かる。そこで、7順目A、8順目Qと出す。EastはこれをKで勝つが、その段階でエンドプレイにかかっていて、を出さざるを得なくなって、ディクレアラーにラフ&ディスカードでのルーザーを処理されてしまうことになった。
 ここで、今度は6順目Jをラフしたとき、Westがをディスカードしたらどうするか。その場合は、Westが6枚、2枚、0枚なので、は5枚持っていることになる。この場合KはWestが持っている確率が高いので、今度は7順目でWestに負けに行くことになる。
 理論的に、とても分かりやすく整理されていますね^^

第10章「Deal 2」から
 次のような逸話から始まっています。「だいぶ前の話だが、ナショナルチャンピオンシップで優勝したあるトッププレイヤーの後ろでそのプレイヤーのプレイをずっと観戦していた女性が「おもしろかったですか?」と感想を聞かれて、「どうして彼が勝ったのか分からない。観戦していた26ボード中、彼は特にすごいプレイをしたわけでもなかったです。」と答えた。」
 勝利するためには素晴らしいプレイが必要だと思われているのはまったくの間違いで、勝つためには、失敗をしないこと、特に不注意による失敗をしないことが最も大きい要素なのである。
次に掲げるハンドは、そういう意味で、とても重要なハンドである。コントラクトを落とすために要求されるのは基本的なカードリーディングであって、何も特別なテクニックを必要とするものではない。しかし、実践では、このようなカードリーディングがしばしば出てくる。したがってこういうハンドで正しくプレイできる者が勝利をつかむことになるのである。
8652 ビッド
 S   N
 1S  2D
 2S  3S
 4S


OL:
95
KQJT72
K
JT A4
AQ4 J8732
643 A9
QT763 8543
KQ973
KT6
85
AJ9
OLの6がダミーのKで取られて、2順目、ダミーから2がリードされた。さてここで?
ローを出して、Southにでのゲスをさせようとか考えずにただちにAであがってをリードするのが正解。1ダウン。
では、なぜここでAをあがるべきか。理由は簡単である。NSのビッドからして、WestはAからのアンダーリードはしないであろうと考えられる。もしWestがAを持っててをリードするならAから来ただろう。するとSouthがAを持っていると推測できる。したがって、2順目ローを出してSouthに勝たせたらSouthはAでのルーザーをディスカードできてしまうことになる。したがって、ここではEastはで2トリック取れることを期待して、すぐにAであがるのが正解ということになる。

第14章「Deal6」から
次に掲げる3NTのハンド、実践では99%の方が間違えてダウンするであろうとした上で紹介されています。
K84 ビッド
 N   S
 1D  2NT
 3NT



OL:
AJ2
JT95
A86
Q72 T653
954 T873
A6 K42
K9753 J4
AJ9
KQ6
Q873
QT2
5のOLに対して、ダミーから6。EastからJ。ここでSouthは2を出してダックするのが正解!
2順目Eastはを続け、4−T−K−A。
3順目ダミーからJ。WestがAで勝って、4順目を出す。Eastはをディスカード。5順目、EastのKが勝つ。この段階でディクレアラーは2個、3個、2個、2個と安全に9トリックを確保した。
1順目の普通のプレイはEastのJをQで勝つことだろう。しかしそうするとディフェンダーにダウンチャンスが回ってくる。つまりのエスタブリッシュに行ったとき、EastがKで勝ってWestのAをエントリーとして残したままをリードできてしまうからである。がディフェンダー5−2ブレークでAKが分かれている場合に備えて、1回をダックするのが手筋である。で、この場合、ルールオブ11が役たつ。5が4thベストだとすれば、Eastが持っている5より高いカードはJだけということになり、KはWestが持っているということが分かるからである。
 この手筋は、Pottageの本などではもっと要約して何種類も掲載されています。この本では、かなりのページを割いてじっくり解説されていますので、頭には入りやすいかと思います^^



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