Easier Done than Said

1998年刊行。127ページ。
インドの数々の名プレイヤーの世界レベルでの選手権からBBOやOKブリッジでのゲームまで幅広く、その活躍ぶりが記載されています。
するどいカードリーディングが詳細に書かれており、すごいと関心すると同時に、たいへん勉強になりました^^
構成は
第1章 テクニック
第2章 カードリーディング
第3章 ディフェンス
第4章 上級の発想
となっています。
いくつか紹介します。

第1章「Path of Lesser Resistance」から
QJT65 Both VUL
W  N  E  S
1S P  1N 2S
P  2N 3D 5C
P  P  P  P


OL:
42
532
T84
AK753
A4
AKQ632
著書の裏ページに問題として再掲されているハンドです。
1992年にカナダのオタワでRegeというプレイヤーがクラブゲームでプレイしたハンドだそうです。
どのようなプレイをしたのか会話が続きます。Aラフの後。。
Gochi「2順目A。すると右からJが落ちてくる。3順目8でフィネスして、Qでを捨ててKに負ける。その後Tでダミーに入ってJTでルーザーをディスカードというのは?」
著者「それはダメ。Westが2順目にを捨てるから。」
Dilip「AK、で3枚目のをダミーのTでラフというのは?」
著者「それもダメ。EastはダブルトンJ9xだから。」
著者「Regeはをダミーでラフした。」
Gochi「なぬ!」
著者「彼は、トランプを刈らずに、ただちにAK、ローとした。この段階で、もしが4−2ブレークならEastはオーバーラフするポジションにある危険性を悟った。そこで、彼はの下にダミーのを捨てた。Eastも同様にを捨てた。Westはをリターン。これをAで勝って、6順目、を1回刈って4回目のを出して、ダミーからはをディスカード。Eastも同様にを捨てる。しかしEastのは明らかに長いのでオーバーラフされる危険はない。そこで、最後に3枚目のをダミーのTでラフすることができ5はメークした。」
全体のハンドは次のようになっていました。
QJT65
42
532
T84
AK8743 92
QT98 J6
K8 QJT976
7 J95
AK753
A4
AKQ632
OLがだと5を作るすべはなかったとのこと。ダブルダミーの問題であったとしても難しいハンドなのに、実際のテーブルでこれを作るとは!とあります。

第2章「Honor the Count」から
Q74 Both VUL
W  N  E  S
   1C X  1N
P  3N P  P


 1:16hcp+
 X :Majors
 1N:8hcp+ Balance

OL:
AQJ
AQ98
AJ6
A93
74
KJ75
8752
ミックスト・ジュニア・ペア戦でのKatarzynaという女性プレイヤーのプレイだそうです。
OLをKで勝ったEastは5をリターン。それを勝ってハンドにで戻ってハンドから2をリードしたところ、Westは4。さて、どうするか。E-Wはアップサイドダウンシグナル、つまりハイ−ローが奇数、ロー−ハイが偶数というカーディングを採用しているとのこと。
全体のハンドは下の如く。
Q74
AQJ
AQ98
AJ6
J85 KT62
T62 K9853
632 T4
QT94 K3
A93
74
KJ75
8752
8トリックあって、後1トリック。上図のハンド内容が分かっていれば、Aであがって、マイナースートを取って、KでEastにスローインすればメークする。
しかし、Katarzynaはそのような方法を取らなかった。彼女はカードリーディングから始めた。
EWはリバースカーディングを採用している。彼女の2にWestが4を出したとき考えた。3は?もしWestが3を持った4枚なら3を出したはずだ。そこで、Eastが3を含むダブルトンにちがいないと考えた。で、ダミーから6を!EastがKで勝たざるを得なかった後、Jをフィネスして難なく9トリック取った。

第4章「Table Perfect」から
Q954 Both VUL
W  N  E  S
         1H
P  3H 3S 4H
4S P  P  5C
X  5H P  P
X  P  P  P

OL:
AT864
52
74
KQ953
KT
A98653
1994年のウィンターナショナルでのVivek Bhandのプレイだそうです。5のコントラクトは、Aがオンサイドなら簡単そうですが、そうでないとすれば、Eastに入れないようにスートをさわらなければなりません。Westの5に対するダブルをどうみるか。あなたのプレイ方針は?
VivekはまずJをラフ。2順目にKをキャッシュ。EWともフォロー。ここで考えた。ハンドへのエントリーは。。もしオポのが4−1ブレークなら、ラフアウトするのに3回エントリーが必要。今ハンドにはトランプが3枚しかないので、これ以上トランプを刈る余裕はない。また、を1回ダックするのもEastに入るかもしれないので危険。そこで、Aをキャッシュ。EastからQが落ちてきた。次にでWestに負けたが、Westはどうしようもなくなっている。Westはをリターン。これをハンドでラフ。ラフ。ハンドにトランプで戻ってラフ。ハンドにはもう1枚トランプがあるので、残りのエスタブリッシュしたを取りにハンドに戻れ、5Xはメークした。全体のハンドは下図。
Q954
AT864
52
74
J86 AKT732
J2 7
AQ43 J9876
KJT2 Q
KQ953
KT
A98653
Vevikは、なぜ2順目Aで勝ってダミーからをリードしなかったのだろうか?この方法だとEastがKx、Qx、Jxの3−2ブレークのときにメークする。他方実践で取られた方法は、Eastがシングルトン、Jxの場合はEastにをオーバーラフされダウンする。Aがオンサイドにあってもダウンするという結果を招く。
 では、どちらの方法がベターか。Eastの3オーバーコールから、それぞれ2枚ずつは持っていない可能性は高いとはいえる。他方、Eastがを1枚ずつしか持っていない場合はどちらのラインでもメークする。また、Westが4枚持たずに5にダブルするかどうか。他にもいろいろ考慮要素が書かれていますが、結局はテーブルで実際にプレイしてメークしたのが正解ということになるとあります^^



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