Master Play (The Expert Game)

1960年刊行。144ページ。アメリカでは「Master Play」イギリスでは「The Expert Game」という書名で出ているようです。元祖はイギリスTerence Reese、アメリカではGeorge Coffinが編著のようです。上級テクニック満載の古典的名著ということですが、入手にはほんとに苦労しました。世界各国に手当たり次第注文してみたりして(^^ゞ 送られてきたときの感慨はひとしおでした(^-^)ニコ

全体の構成は
パート1:推測と仮定
 1.どうすれば分かったか
 2.発見、仮定、隠匿
 3.リストリクト・チョイスの原則
パート2:トランプスートをめぐって
 4.タイミングとコントロール
 5.トランプを有効に使う
 6.ディフェンス側のトランプの使い方
 7.トランプスートの触り方
パート3:戦略の領域
 8.フィネス
 9.ルーザーオンルーザーのバリエーション
 10.ホールドアップ
 11.動きを待つ
 12.ディセプティブ戦略
パート4:上級テクニック
 13.連絡と移動
 14.スートエスタブリッシュの方法
 15.バイス、ウィンクル、ステッピングストーン(スクイズ)
となっています。
いくつか紹介します。

パート1 「アップサイドダウン インファランス」
 あまり本では紹介されていないパターンとして描かれています。
       KQT62
  853         AJ
       974
 こういう組み合わせで、Southからローカードを出してダミーのQを出したところEastが「A」で勝った。この場合、もしEastが「Ax」であれば、2回目にゲスさせるために1回目はローカードを出したはずである。したがって、Eastが最初に「A」であがったそのこと自体が、Eastが「Ax」という持ち方でないことを示唆している。したがって2回目はKを出すのが正解となる。ただし、ディクレアラーがいつもそのように考えてプレーしてくるなら、今度は「Ax」と持っているときにAであがるのが作戦としていいプレイになる。ブラフとダブルブラフ(裏の裏をかく)ということになる。(^_^)3 フムフム おもしろいですね^^
       AJ93
  QT4        K82
       765
 では、これは? ハンドから7を出したとき、Eastが4を出せば、数学的にベストなプレイはダミーから9を出すことである。この方法はWestが「KTx」、「QTx」のとき成功し、「KQx」のときのみ損する。他方、West側からみれば、こういうときは「Q」をかぶせるのがいいプレイである。これはダミーへのエントリーを少なくすると同時に、次にフィネスするときJ,9どちらを出すかゲスを迫る効果もあるからだ。
       AJ93
  KQ4        T82
       765
 それではこれは? Southから7をリードしたとき、Westがローを出したら?今度は、ほとんどのプレイヤーはKTxやQTxからはKかQをかぶせるはずという仮定のもとでダミーからは「J」を出すのが正しいプレイとなる。もちろん、ここでも「裏の裏」戦法は残されているが。
       AQJ4
       762
 こういう組み合わせで、Southから7を出してQでフィネスしたらEastがKで勝った。このことからどういう推測をするか。一般的に上手なプレイヤーは最初のフィネスはダックする。したがって他に事情がないかぎり、このスートは4−2ブレイクと推測することとなる。 なるほどぉ〜〜

パート3「ホールドアップ」から
Q94 ビッド
 S  N
 1D 1H
 2N 3N


OL:
KQ62
Q85
843
A862 T53
J8753 T4
T7 AJ2
JT Q9752
KJ7
A9
K9643
AK6
Southは、を一回ダックして2回目に勝って、ハンドからローを出してダミーのQを出した。ここでAを出したのでは「エンド・オブ・ディフェンス」は明らか。Westは最初のをダックすべき。2回目のJを出せば、SouthはWestがAx、EastがJTxと読んで、をダックするかもしれない。
パート3「ウェイティング ムーブ」から
KQ3
QJ62
QT9
A43
9742 AJT865
753 AT98
532 4
QJ7 T5
K4
AKJ876
K9862
Eastがのオーバーコールを入れた後、コントラクトはSouthの6となった。OLは2。さてここで?
普通は次のようなパターンとなるだろう。ダミーからQ。AがかぶせられてSouthがラフ。を3回刈って、ダミーからロー。これでノーディフェンス。EastがダックすればKでを捨てられ、Aで取れば、Q、J、Kの下にを捨てられてしまう。そこで、Eastは最初のQにかぶせないで、ディクレアラーの動きを見る。するとディクレアラーは先にどちらを捨てるかを決めなければならなくなってしまい、ダウンする。
 そこで、Southは最初ダミーからローを出すのが正解。つまりEastがAを出すかダックするかを見てからの下に何を捨てるかを決めることとするということである。
 チェスの例が引かれていますが、将棋でも囲碁でも相手の動きを見てから態度を決めるという高度なテクニックには共通するものがありますね^^

この他にもいろいろ興味ある記述が満載です^^
カードリーディングの本や「Dormer on deduction」などの中から高級なテクニックを抜き出したという感じで、読んでるだけで、とても上達した そんな錯覚さえいだかせる本です^^



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