Around The World In 80 Hands

1999年刊行。254ページですが、活字もハンド表示も見やすく、あっという間に読めてしまいます^^
世界中の様々なトーナメントで出会った名手、名人のすばらしいプレイ、はでなスウィングボード、ニューヨークのブリッジクラブでの高額の賭金の勝負の模様や賭金の実態、初心者の笑わせるエピソードなどずべての物語が決して飽きることなく最後まで続きます^^
いくつか紹介します。
第4章「Now Watch Carefully」より
ある「ボード・ア・マッチ」(意味はよく知りませんm(_ _)m)でZiaのチームメイトが「23点で3NTにいって1ダウンしました。そりー。」と謝ったところ、Ziaは「いや、こっちは2ダウンだったから。しかも1NTで!」と答えました。Ziaのパートナー、ミッチェル・ローゼンバーグのすごいディフェンスによるものです。Ziaは、ローゼンバーグは世界で最高の才能があるプレーヤーの一人と紹介しつつそのハンドを紹介します。
Q96 OL: Q96
K843 K843
J92 J92
J83 J83
KJT2 873
J AT975
K8654 T7
965 KQ7
A54 A54
Q62 Q62
AQ3 AQ3
AT42 AT42
さて、1順目は5−2−T−Q。ここからどうプレを組み立てるか。やることはいっぱいあるが、とりあえずで何トリックか確保しようとあなたはハンドからローを出した。2順目2−J−K−5! なんとラッキーな日なんだ。WestはAJのダブルトンにちがいない。あなたはダミーからローを出してハンドでダックする。3順目3−7−6−。。! 。。゛(ノ><)ノ ヒィ
ラッキーな日どころか、あなたはローゼンバーグのわなにまんまとはまったのだ。Eestはさらに3枚を取ってローをリード。WestはKで勝ってをクリアー。後でKで入って残りのをキャッシュ。2ダウンとなった。。

第9章「Capricious Christi」では1992年にアメリカテキサスで26ヶ国500人ものプレーヤーを集めて開催された開かれたパンアメリカンの模様が描かれていますが、そこに登場してChagas−Brancoと対戦しているVarela−Miyakumiとはもしかしたら日本の宮国プロのことかもしれません。

第34章「Buying Futures」より
1995年のワールドトップペアトーナメントでの、ミッチェル・ローゼンバーグのプレイです。
KJT
AT65
AK973
A
9853 Q2
82 K3
65 QJT2
KJ976 T5432
A763
QJ974
84
Q8
ほとんどすべてのテーブルでSouthの6がプレイされ、ローゼンバーグのみが唯一これをメークした。
Westはセーフティーリードであると思われるリードを避けて、をOL。ダミーのAが勝つ。この時点で、他のディクレアラーは、のフィネスのうちどちらかが成功するかあるいはが3−3ブレーク(80%以上の成功確率)に賭けて、A、フィネス−負け、AKラフ、最後にフィネスとやって1ダウンが普通の結果である。
ところがローゼンバーグは、さらにオプションを追加した−というかオプションを変化させたのだ。彼は1順目Aで勝った後、ただちにAKとプレイして3枚目の9でラフした。Westがをディスカードしたとき、ゲスは不要となった。ローゼンバーグはをラフ、4枚目のQでラフ。A,アナザーとやってEastにスローイン。Eastはのテナスに振り込むかを出してラフ&ディスカードさせるかしかなくなってしまって、コントラクトは安全にメークした。

第45章「Curse of The Sphinx」では、エジプトチームのフォーシングパスシステムとの対戦がおもしろく描かれています^^

第55章「The Bridge Oscar」より
世界のエキスパートを、才能ごとに最も優れた選手を選んで評しています。
○天才−Benito Garozzo。おそらく天賦の才能の持ち主。
KJT8
J
QT965432
4 Q75
QT9765 K4
K8 J
AKQ6 J875432
A9632
A832
A7
T9
GarozzoがSouthで1オープン。Westがダブル。結果Southの6に! OLはA。Garozzoはほとんど考えずに、ダミーでラフしJを流した。これが通ったあと、A,7でWestに負けに行く。Westはをリターンしたが、これをダミーでラフしたGarozzoはその後を走って簡単にメークした。

○テクニック−Terence Reese。まるで機械、コンピューターのように。複雑な分析と推論の才能が最も優れている。また、その集中力もすごかった。

○闘争力−Rixi Markus。決してあきらめない精神力は勝者と敗者を分けるもので、Markusは、この闘争心のかたまりであった

○性質−Bob Hamman。失敗や不運に対して最も動揺せずにいつも平静でいられる才能の持ち主である。

○魔術−Giorgio Belladonna。
仮に、あなたがJ32 J97 K AKT864 というハンドを持っていてプレシジョンシステムで2とオープンしたとする。ビッドは次のようになった。
(West)−X(North)−Pass(East)−3NT(South)−All Pass
さて、あなたはここで何をリードするか。
普通ならAか4thベストの8と思われる。ところがBelladonnaが選んだのは、なんとT! 全体図は
AQ95
KQ65
Q853
9
J32 T876
J97 T842
K AT9
AKT864 73
K4
A2
J7642
QJ52
のみ落ちのリード。まさにマジック。
と言う感じです^^

また、Geza Ottlikの「Adventures in Card Play」から2例も紹介されています。Ziaをも魅了する奥深い本だということが実感できます^^



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