この本の目的は、「隠された(見えない)ハンドのカードを読めるようになること」と書いてあります。ダミープレー、ディフェンスそれぞれの立場で、オポのハンドを推理しながらプレイしていく、その際に何をどのように考え、どのようにプレイすべきかについて 考えるべきポイントが示されています。
シングルダミーで、一つのハンドでポイントは一つで、複数の要素をいろいろ考えなければならないというものではないので、その意味ではものすごく難しいというわけではないです。ただ、実践でここに書いてあることが全てできるかと言われれば、とてもイエスとは答えられない感じで、結構高度です。また、各問題は系統立てて噛んで含めるように順番に解説されていっているわけではなく、様々なテクニックが並んでいるという感じがしました。
たとえば、第1章のディクレアラーのプレイについての13例題をテクニックごとに書き並べてみますと
@コントラクトをメークするために必要なオポのカード配置を描いてプレイする A同じ Bカードコンビネーションを考える C同じ D最悪のパターンを想定する EオポのKのカード配置をいろいろ考える(ラバーとデュプリケートの違いも) Fカードコンビネーション(ダブルフィネス) Gどちらのフィネスが本当に必要か考える Hフィネスが必要かどうか考える(ダミーリバーサル) Iフィネスするしない(@と1枚カード配置が違うだけ。ラッフィングフィネス) Jダックするしない(カードコンビネーション)Kカードコンビネーション(Reeseの本に同例あり)という具合でいろいろなテクニックが載っています^^
一つ一つの問題ごとに考えるポイントが詳しく書かれていますので、身にはつきやすいと思います。
構成は
第1章 仮定、推論を積み重ねながらプレイ、ディフェンスする
第2章 カウンティング
第3章 ビッドから推理する
第4章 オポーネントのプレイから推理する
第5章 パートナーから助けを得る
第6章 クイズ
となっています。全体で223P、活字は読みやすいです。
いくつか紹介します。
第1章の中から「ディフェンス」より
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ビッド N E S W 1D 1S 2H P 2N P 3N X P 4C X P P P |
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あなたのOLは2。ダミーが
A。ディクレアラーは
をディスカード。2順目ダミーからロー
。デクの
Jが勝つ。3順目
、これをダックしEastの
Aが勝つ。4順目パートナーからロー
、デクは
Q、あなたが
Aで勝つ。さてここでどうするか。
デクはと
を11枚持っていることは分かる。仮に
6枚、
5枚とする。仮にここでトランプ
をリターンすると、次の機会にパートナーは
Aで勝って
をリターン。ダウンは確定する。
しかし。仮に5枚、
6枚なら?5順目のあなたからの
リターンをデクはハンドで勝って、
を負けに来る。で、後3枚の
(最初に
Aの下に1枚捨てています)のうち1枚をダミーの
でラフし、
KQの下に残りの2枚の
を捨てられると。。なんと4
Xがメークしてしまう。こういう最悪の事態を想定した上で、あなたは、5順目、
リターンでなく
をリターンし、パートナーにラフさせるべきである。その後
をあなたが勝ってトランプをリードすることができる。デクが
を最初からダミーでラフしに来ないで、ダミーの
2枚をエスタブリッシュしにきたことが、デクのハンドが5206であることの手ががりになっている。
→この、デクのウィナーをラフさせる方法はたぶん実践でもでてき て相当有効なディフェンスになるはずです。しかし、気づかない ことも^^現にσ(^_^)は気づかずに失敗したことがあります
第2章 「カウンティング」から
NA65
A85
AJ7
AQJ4
SKJT9732
K4
85
86
こういう組み合わせで、Southのあなたは2番手で3オープンし、パートナーが6
にレイズしてきた。
OLは2。ここで、
をどのようにさわるか。アベレージプレイヤーにとっては純粋なゲスとなるが、エキスパートにとってはプレイは明確である!どう考えるのか?
もしフィネスが効けば
Qに負けてもコントラクトはメークする。では
フィネスが効くかどうかをどのように考えるか。もしWestが
を3枚全部持っていたら、LHOは残り10枚、RHOは残り13枚。10対13で
フィネスは確率が悪い。
リードが4thベストとすると、それぞれの残りは6枚と9枚で、2対3で確率が悪い。他方、もしEastが
3枚を持っていたら、その確率は逆に13対10、9対6になってあなたに都合が良くなる。したがって、その
フィネスの確率が悪い方(Eastが
3枚)にまず備えて、ハンドから
Kを取るのが正しいプレイということになる。
Kを取ったとき仮にEastが
を3枚持っていたとしたら、今度は
フィネスが効く可能性が高くなるということになる。
ふむ〜。目からうろこです^^
第4章 「オポーネントのプレイから推理する」から
NKJ
A875
AQ965
K7
S84
KQ62
KT743
63
ビッドはNorthから、1−1
−3
−4
4bySouth OL:
Q これをあなたはダック。Westは次にロー
にシフトする。さてここでどうするか。筆者なら
Kをプレイする。理由は2つ。
@オポは、
を二人でたくさん持っている。もしEastが
A、
Aを両方持っていたら、何かOCした可能性がある。
Aより説得力のある理屈は、WeastはAからのアンダーリードで何も損をしないということである。他方、
QからのアンダーリードはもしSouthが
Axx
Kxxx
JTxx
xxなどの場合できないコントラクトを作らせることになるのでとても決行できないはずであるからである。
第5章 「パートナーから助けを得る」から
この章では、新しいシグナルの方法としていくつかが紹介されています。
1.アップサイドダウンシグナル(リバースアティテュード)
・ローカードがカモン、ハイカードがノンカモン
2.ローマンディスカード(オッド−イーブンディスカード)
・オッド(奇数)のディスカードがカモン
イーブン(偶数)のディスカードは他のスートのリードを
要求、高い数字はランクの高いスートを、低い数字はランク
の低いスートを要求
3.スミス
・NTに対するディフェンス方法。OLのスートをOLした
人に入ったとき続けていいかどうかを、パートナーが、
デクの最初のスートリードの際に知らせるというもの。
ハイローならOLスートに見込みあるので続けてほしい。
ローハイなら他のスートをリードしてほしいと言うもの。
4.オープニングリード
・0or2ハイアナーなど
5.アナー保証
・3rd、4th、5thのリードの場合には、スーツコント
ラクトであろうとNTであろうとOLはアナーを保証すべ
きというのが筆者の考え方。例外は、パートナースートで
かつあなたがサポートできなかった場合の3枚以上からの
リードの場合のみ。このとき3枚のトップからリードする
と、パートナーはダブルトンと勘違いして3回目をラフさせ
に来るのを防止することができるからである。
6.AKからのリード
7.3rdベスト/ローエストリード
8.プレゼントカウント(その時点でのカウント)
さらに、ディフェンスでAKと持っていてパートナーからそのスートがリードされてきたとき、Aで取るのとKで取るのとをどう使い分けるかなども例を示しながら書かれてあって興味深かったです^^
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