Adventures In Card Play

 ブリッジの奥深さを堪能させてくれる本です^^285ページもある上に字は小さく、内容は高度。最初はとてもとっつきにくかったですが読み進むうちにとりこになり、夢中で読んでしまいました^^
sei_nさんのHPで書評が書かれている通り、ハイレベルなダミープレイ、ディフェンスの連続で、ブリッジにはまだまだ知らない世界があることを実感させられ、同時に一層の興味を持つようになりました。
 この本、大半は様々な高度な「スクイズ」の解説です。したがって、「Kelsey on Squeeze Play」は一応読んで、基本的なスクイズについては一通りの知識をもってからのぞまないと、まず役に立たないというか、読んでもわからないという感じがします。なにしろ出だしから、ノンマテリアル・スクイズや、ステッピング・ストーン・スクイズとかが出てくるのですから。「こうなれば通常のダブル・スクイズになる。そこで・・」などというように、ダブルスクイズ程度では、結論だけ思考過程の一部として書いてあってプレイ手順の解説すらなされていません。
 加えて、最初の問題はスクイズとは無関係なんですが、これが難しい!何回か読まないと意味すら分かりませんでした最初。。そのため、この出だして読むのを挫折してしまうというケースもあるかもしれません^^;;
構成は
第1章 方針の変更
第2章 フィネスする、しない
第3章 エントリー・スクイズ
第4章 バックワッシュ・スクイズ
第5章 エントリーシフティング・スクイズ
第6章 エロープメント・スクイズ
第7章 さらなるエロープメント
第8章 さらなるトランプスクイズ
第9章 エントリーシフティング・ウィズアウトトランプ
第10章 ノンマテリアル・スクイズ
第11章 ノンマテリアル・フィネス
第12章 ノンマテリアル・スローイン
第13章 ハンドパターンの調整
第14章 ノンマテリアル・ダミーリバーサル
第15章 ノックアウト・スクイズ
第16章 さらなるエントリー・スクイズ
となっています。これまで、聞いたことのないようなスクイズばかりで、目新しくとても興味深かったです。そしてまた、様々な形のスクイズを知ることによって、スクイズの本質が、「オポにディスカード(orプレイ方針)の選択を迫りそれに応じて自らのプレーを選択あるいは変化させる」(σ(^_^)の勝手な解釈かもしれませんm(_ _)m)ものであるということがより明確に分かったような気がします。

いくつか紹介します^^
第4章 バックワッシュ(Backwash)・スクイズから
KT8 K
QJT42 T42
763 763
J5
754 63 7
65 AK9873 9873
T952 J4 T952 J4
AT83 972 T8 9
AQJ92 Q
AKQ8 AKQ8
KQ64 Q6
Eastの2オープンのあと、あなた(South)は3とオーバーコールし、6コントラクトのディクレアラーとなった。
オポはトランプのベストOLを発見。これをあなたはダミーの8で勝つ。ダミーからQ−K−A。3順目4−3−J−2。4順目J−A−Q−6。5順目KがWestのAに負ける。Westはトランプリターン、ダミーのTで勝ち上右図となる。残り7トリックを全勝しなければならないが、Westがをもう1枚持っているとすると、を刈り上げてしまわないと、エスタブリッシュしたTを使えない。かといって、を刈り上げてをキャッシュすると、あなたはWestより先にハンドから何かをディスカードしなければならなくなり、Westをスクイズにかけることができない。
バックワッシュ・スクイズが助けとなるのは、まさにこのような場面である。このようなとき、ダミーのローをハンドのQでラフしてみる。このとき、Westはどれを捨てても残り全部取られてしまう。(ここからのプレー手順は、当然という感じで、一言も書かれていません^^;;)
 こういった場面は驚くほどしばしば現われる。しかし、その多くはそうだと認識されないまま終わってしまっている。このポジションを知っておくことであなたはアドバンテージを得ることになる。
(トランプも含めた、トリプルスクイズ、トランプスクイズ、トランプクー、それらと似ていながらいずれも少し違う形です。)
第7章 エロープメント(Elopement)・クーから
AQT4 T
653 6
T
Q9642 96
J973 K865 J 8
Q972 JT8 Q9 J
943 AKQ8 A
JT K8 J 8
2
AK4 4
J7652 J7
A753 7
オークションは、 W  N  E  S
           P  1NTP
        2C X  2S 5C All Pass
T1:2−3−T−
T2:2−3−T−
T3:8−A−7−
ここまで2勝1敗。あと1回負けるだけにするにはどうするか。
ビッドからEastがKを持っていそう。そこで、EastのがK8であることを期待してプレーする。
T4:2−3−A−
T5:Q−K−A−
T6:ラフ T7:ラフ T8:ラフ T9:Q−K−ラフ
ここで上右図のようになる。残りあと4枚。8勝1敗。
ここでSouthのあなたはをリードする。ここでWestはこのをラフできない。もしラフすれば、ダミーのはここで捨てられ、エスタブリッシュしたを交互にラフで使われてしまう。もいWestがを捨てればダミーの6でラフ(エロープ)し、ダミーからTをリードしハンドのを捨てる。かといってここでWestがを捨てたのでは、残りの3枚を全部ラフに使われてしまう。
 さて、あなたは、Eastが最強のディフェンスを逃がしたことを気づいただろうか。Eastが5順目QにKをカバーしなかったら、5のコントラクトはメークしなかったことを。カバーしないことでで1トリック損をするが、エロープメント(ラフによる取り逃げ)によって2トリック余計に取られることにはならなかったのである。
 さらに、あなたは、Southのプレイがベストでなかったことに気づいただろうか。4トリック目、ダミーにでなくラフで入るべきだったということを。そうしておいてダミーからQをリードする。もしEastがKをカバーすれば、エロープメントで同じ結果になる。ところがWestがKをカバーしなかった場合には、ロングをエスタブリッシュして11トリック目を確保できることになる。

第9章からの「ノンマテリアル」シリーズでは、オポのディスカードが直ちに現実のトリック確保になるのではなくて、オポのディスカードによってスクイズかエントリーができるかなど次の選択肢が生じるという「広義のスクイズ」であったり、エントリーをつくるため、スクイズにかけるためのフィネス、スローインが解説されています。

奥が深くておもしろかったです、ほんとに^^
別にまとめることにしました。



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