Masterpieces Of Declarer Play

2001年刊行。Pottageの歯ごたえのあるシングルダミーの問題集です。
Oniさんもこの本はためになるということを何回もおっしゃっています。
Pottageの問題は、手筋一閃というものよりは、非常に実践的で、理論的な考察を重ね、より可能性のあるプレーを探すというもので、むしろ地味です。σ(^_^)にとっては この本は、カードコンビネーションの理解にとても役に立ちました^^絵札だけでなく、自分のハンドにある「8」や「9」などが貴重なカードになることがあるということと、これまでおろそかにしがちだったオポの持っているカード配置をより緻密に推測する必要性を痛感させられました。
 ただ、基本的にフィネスはほとんどの場合効かないようになっていて、ディストリビューションもいいケースはほとんどないという具合で、どうしたらメークの可能性があるのか悩むことも多かったです。
構成は
第1章 NTのプレイ(1〜20)
第2章 スートコントラクトのプレイ(21〜54)
第3章 ボーナスセレクション(55〜72)
となっています。
感心したのは多いですが、いくつか紹介します。

Example5
9764 オークション
S W N E
1D P 1H P
2C P 2D P
2NT P 3NT P


OL:
  Kfrom East
9764
J732 J732
T43 T43
AK AK
QT85 KJ3
Q83 KT65
QJ85
J7654 T8
A2 A2
A9 A9
AK762 AK762
Q932 Q932
さて、ここでどう考えるかです。
 まずの分れは気にしなくていい。というのはWestがQJTxxからならQをリードしたでしょうから。そこで、KをAで取る。仮にの分れが5−2であったときは、ダミーの9がストッパーの役割を果たして。(これはQJTのうちもう1枚はEastにあるとの読みが前提になっています)そしてまた、Aで取ることによって、へのシフトを防いでいる。
 次にの開発にかかる。が3−2のブレイクであるときはコントラクトは確実なので、4−1である場合を考えて、その場合でもメークするようにもっていく。LHOが4枚の場合はどうか。例えば、AをキャッシュしたときRHOからアナーが1枚落ちてきたとする。あなたは続いてハンドからローをダミーのTに向けてリードする。と、どうなるか。Westはの残りのアナーで勝って、を取り、にシフトしてくる。そうなるとダミーにはTが1枚とAKが残ってハンドに戻れなくなっている。
ここまで考えて、LHOが4枚の場合はコントラクトはメークしないことが分かる。
 そこで、RHOが4枚であると仮定して(かつLHOが「9」か「8」のどちらかを最低持っていることを前提として)メークするように考える。
ハンドからローを出してRHOの絵札に1回負けておき、その後でダミーに2回入って、RHOを2回フィネスすることがまず考えられる。しかし、それだと3−2ブレイクのときはダウンする。3−2ブレイクであっても同時にメークするようにプレーしなければならない。
 正解は、AでダミーにわたってTをリードすることである。カバーされなければそのまま流し、Eastがカバーすればカバーする。そして、Kでまたダミーにわたってローを出し、Eastがカバーすればカバーする。
ハンドの7も重要な意味を持っているわけです
 実践でここまで考えられるか。。無理ですね(^^ゞ σ(^_^)はハンドからローと考えて失敗でした^^;;
Example13
QJ6 オークション
S W N E
1NT P 3NT P




OL:
T1:4−J−3−2
QJ6
AJ AJ
KT65 KT65
QJT7 QJT7
953 8742
KT64 973
874 A92
AK8 532
AKT AKT
Q852 Q852
QJ3 QJ3
964 964
さて、どう考えますか。
 はEastがT93でない限り2トリックしか取れない。それと3トリックの計5トリック。あと4トリックを開発しなければならない。も単独では4トリック確保できない。したがって両方からトリックを捻出しなければならない。
 A、A、Kに3回負けることになるが、1回負けたとたんにAを追い出される。次にEastに負けたときQ8を通されてで2トリック取られるとダウンしてしまう。ということは逆に、A、AKが全てWestにあればコントラクトはメークすることが分かる。他に可能性は?
 もしEastが持っているアナーが1枚であれば、先にEastに負けてAを追い出されたとしても、後2回はWestに負けることになるので、コントラクトはメークする。ただし、それがのアナーであるときは、まずWestが勝ってしまうのでうまくいかない。したがって、EastのエントリーがAで、AKはWestにあるケース、この場合もメークすることになる。そこで、2順目はダミーからを出すのが正解ということになる。
 非常に論理的、科学的ですね^^もちろん仮定の積み重ねの上に成り立つものですが、こういうふうに考えるといういい題材でした^^

Example54
J532 オークション
S W N E
      2S
3H 4S 5H



OL:
T1:6−2−A−
T2:A−T−3−8
J532
KQ763 KQ763
J32 J32
K96 AQT874
AT75 K86
KJ865 T74
AJ9543 AJ9543
Q94 Q94
A932 A932
を1順で刈りきって、さてここで同考えますか。
 ともかく、クロスラフして稼ぐしかないので、4回、Aからを3回ラフして計9トリック。でもう1トリック取れるので、後1トリック捻出しなければならない。問題はここからはじまります。
 ダミー:x J32
 ハンド:x Q94
さて、どうするか。
Westが3154か3127であれば、クレームできます。3154であればQを負けにいく。3127であればJを負けにいく。(*2回目が来るとき、長い方からアナーを通して2枚の方に抜けていくようにすることによって、そのアナーが仮に負けてもスローインになるようにする作戦です)
 では、もしWestが3145か3136のときはどうするか。スローインによるラフ&ディスカード作戦はもう使えない。ここで、あなたは誰がTを持っているかを考えなければならない。がリードされなかったこと、またダブルもなかったことからAKは分かれているものと考える。4枚のを持っている方がTを持っている確率が高いと考える。Westがそうだと考えれば、Qでまず負けにいって、(仮に左に負けたとして)次にローが返ってきたとき、ハンドの9まで流す。逆にTがEastにあると考えたときは、まずJを負けておいて、次に9でフィネスする。
 なるる〜。



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