Play These Hands With Me

 自戦解説風(「over my shoulder style」)で、「Bridge Magazine」で最初にこの方法で掲載をはじめたところ人気となったらしいです。
 全部で60例です。Terence Reeseがどのようにカウントし、オポのハンドを読みプレーしているか、とても実践的で勉強になりました。Reeseが結果的に失敗したプレーも掲載されていますし、パートナーは常にエキスパートというわけではなく、オーバービッドになって苦しいコントラクトをなんとか作るというのもあります。いずれにしても、世界のトッププレーヤーであっても、基本はカウントを含めたカードリーディングであることがはっきりとわかります。また、紹介されている手筋は、高度なテクニックというよりは、カウントに基づく手筋がほとんどで、いかにカウント、カードリーディングが大事か身にしみて感じました。
 いくつか紹介します。

15.Sinister indication
  AKJT
  AQ6
  T7643
  
 とあるチーム戦、オポはファーストクラス。ボスバルで私はこのようなハンドを手にした。我々は5カードメジャーシステムであるが、このハンドはリバースのバリューがないので1でオープン。パートナーは3。で4がコントラクトとなった。WestからはQがリードされた。
  (パートナー)8764
         
         KJ852
         A64

  (わたし)  AKJT
         AQ6
         T7643
         
QをAで取って2トリック目は、4−5−A−2。
次は長いサイドスーツをできるだけ早くエスタブリッシュするという基本原則にのっとり、ハンドから3−Q−K−A。
Eastは少し考えてロー。これをハンドでラフした。
状況は
         876
         
         J852
         

         KJ
         AQ6
         T764
         
ここで、もしKを回して、オポが両方フォローしたら、5メークは簡単。しかし、不吉な兆候が1,2点ある。1点目、Weatはシングルトンのをリードせず、Eastもまたラフをしに行かなかった。2点目、最初の切り札刈りのとき、Westは2を捨てた。いずれのオポも3枚があるときはハイ・ローのシグナルを出すはずである。
これらのことから、Westが4枚の可能性が高いと考えた。もしそうだとするなら、WestはKの後のをラフしてを取るだろう。
このリスクを避けるためにを出してみた。Westはを捨てた。Westはもうを持っていない?可能性はあるが、ダミーにルーザーのがまだ残っているので、ここでJをフィネスするのは危険。ここでのセーフティープレーは、ダミーのをハンドでラフして、Kをキャッシュすることである。Eastはショウアウト。Westはで2トリック取れるが、そこまでで、4はメーク。
全体のハンドは
8764
KJ852
A64
Q932
K952 JT743
  A9
QJT8 K9732
AKJT
AQ6
T7643
18.Faintly familiar
 一度経験した課題、問題はまた遭遇するもの。再び出くわした時に思い出せるかどうかが鍵であって、それがなかなか難しいものである。
  Q5
  T987654
  
  AQ4
ゴールドカップの予選、ボスバルでWest(LHO)が1でオープン。
  S  W  N  E
     1S P  1NT
  2H 2S 3H P
  4H
となって、WestがKをリード
   (パートナー)93
          AK3
          QJT64
          976

   (わたし)  Q5
          T987654
          
          AQ4
WestがK,Aと続けて、Eastは最初6、2回目は少し考えてJ。EastのJが、ではなくのハイアナーをパートナーに知らせていることは間違いない。とすれば、が3−0でない限りEastのKをラッフィングフィネスで捕まえることができる。
と思ったのもつかの間。WestがQをリードし、わたしのダミーへのエントリーが一つ消された。
ここで、Kで勝って、Aをキャッシュ、Aでダミーに入ってQを出すと、EastはKをカバーし、結果ダミーに戻るエントリーがなくなってしまい、で2敗を免れない。さて。。
 このとき、かすかな記憶がよみがえってきた。そう、かつて同じような場面があった。わたしは、Kのコールを思いとどまり、ダミーから3を出してWestのQをそのまま流した。もしWestがもうを持っていなければ、先にAをキャッシュすることができる。を勝たされたWestは困って、結局を出してきたが、残りをなんなく取ることができた。
全体のハンドは
93
AK3
QJT64
976
AKT742 J86
J2
875 K932
KT5 J832
Q5
T987654
AQ4
私が思い出したハンドとは1957年にSelfridgesで開催されたパーコンテストで、次のようなハンドだった。プレーは「Curtsey to the Queen」(女王におじぎ)と称された。
A432
AT7543
A73
962 QJ8
KQT86
KJ986532 AQT74
KJT98765
J954
Eastが1オープン後、Southの6というコントラクトになって、Westから2がリードされた。ディクレアラーはAで勝って、Kでハンドに入り、ローをリード。WestからQ。これをそのまま勝たせる。Westから何が返ってきてもをエスタブリッシュするダミーへのエントリーは確保されている。
 このハンドを私は思い出した。同じテーマ:エントリーを残しておくためにノールーザーの切り札をあえて負ける。。
複雑なプレーはもっともっとあるのですが、Reeseほどの名手でも
(1)基本はハンドの読みとカウントであること
(2)いろいろなプレーを経験して(知って)記憶しておくことが
  大事であること
がよく分かったハンドとして印象深かったので紹介させていただきましたm(_ _)m



戻る

レビュー2へ

トップへ

次へ