Reese on Play

 この本は、50年以上も前に出版されたものが2001年に再び出版されたもののようです。
 カードプレーに基本的に必要な事柄からハイレベルな技術までがコンパクトにまとめられており、しかも読みやすいです。
ただ、内容的には、「カードプレイテクニック」で詳しく書かれている内容とほとんど同じですので、そのコンパクトバージョンといったところでしょうか。日本語の「カードプレイテクニック」を熟読していればあるいはこの本を再度読むことは必要ないかもしれません。
 構成は、
パート1.序盤の戦略
 1.カウント
 2.コントロール維持
 3.スーツプレーでの課題
パート2.ディフェンスの戦略
 4.オープニングリード
 5.ディフェンスでのトリック確保戦術
 6.パートナーシップ(シグナルetc.)
パート3.中盤の戦略
 7.セーフティープレー
 8.コミュニケーション
 9.ディセプティブプレー
パート4.終盤
 10.スローイン
 11.エリミネーション
 12.トランプ・クー
 13.スクイズ(基本原理)
 14.シンプルスクイズ
 15.さらなるスクイズ
 16.スクイズのディフェンス
となっています。
いくつか紹介します。
出だし第1章「What Counts in Play」の冒頭では、
「上手なプレーヤーとアベレージプレーヤーとの最も違う点は、上手なプレーヤーは52枚のカード全てを考えてプレーするのに対し、アベレージプレーヤーは見えてる26枚のカードしか考えてプレーしない点である。」と書かれています。エリミネーションやスクイズなどの難しいテクニックを知らなくてもカウントがきちんとできれば、1000人に1人のプレーヤーになれると。
 また、その同じ章の「プレーから推論する」では、ノートランプのプレーでディクレアラーが「AQJxx」や「KQxxx」とダミーにあるスーツを全然さわらない場合、ディクレアラーはハンドに、前者の場合は「K」を後者の場合は「A」を持っていて、他のスーツで9トリック目をさがすことを優先しているケースが多い。逆に「KJxxx」や「AJxxx」とダミーにあってさわらない場合は、「Q」はもっていなくて「A」はあって、他のスーツを先にさわり、このスーツで何トリックとることが必要かわかるまで放置しているケースが多い。などと書かれています。

第4章「Choosing a Lead」では、
 West East
  1   1
  2   2NT
  3NT
というオークションで、あなたがSouthで
 AQ5
 J862
 74
 Q763
というハンドを持っていたとした場合、2が正しいオープニングリードである。しかし、
 Q53
 J862
 74
 Q763
というハンドであった場合は、リードが正しいと書いてあります。
第11章「Elimination Play」では、
    N



7652



KJ83
AQ7
K8
T3 AKJ84
72 65
T865 KJ3
Q9542 J63
    S Q9
AQT94
942
AT7
bySouth。がリードされ、3順目にSはラフ。
ここで、通常のエリミネーションプレーをするとどうなるか。トランプを刈り上げて、ラフ、4枚目のをラフして、10順目、ハンドからローを出す。ここでWestが不注意にもローを出してしまえば、ダミーから7が出され、Eastが勝たされてしまい、コントラクトはメークするが、Westが8を出せばNorthはダックできずダウンする。
しかし、手順を途中で変えて、9順目に4枚目のをラフせずにハンドからを捨ててWestに負けに行けば(ルーザーオンルーザー)、コントラクトは確実にメークする。
複数のプレーラインがある場合にはよく考える必要がある。このハンドはルーザーオンルーザーエリミネーションの代表的な例である と書かれています。

第15章「Advanced Squeeze」での新しい発見は、「ガードスクイズ」の記述で、「このスクイズは、(いわばトリプルスクイズにかかっているのと)逆サイドのオポが2つの1カードメナスのうちどちらかのコントロールを持っていてもスクイズが成立するという驚くべき特徴がある。他の全てのスクイズでは両方のオポが1カードメナスのコントロールを有しているときはスクイズは成立しない。」という記述です。
例として、下図が示されています。
       K4
       
       
       
   J9     Q63
   T      
   K      
          
       A72
       
       
       Q 
ここで、Eastの6がJやQであっても、SからQをリードすれば、全勝できるということです。ただ、スクイズに関しては、この本はコンパクトにすべて詰め込まれていますので、初めての方は消化できないかもしれません。       



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