Bridge for the Connoisseur

多くの世界戦を題材に、秘術を尽くした攻防の妙の数々が収録されています。
わずか52枚=13枚X4人の組み合わせの中に、驚くべき深い手順や手筋が隠されていることが分かり、ブリッジの奥深さを堪能でしました^^
全体で58のゲームが題材として取り扱われています。
いくつか紹介します^^
(1)40話「第1トリック目でどれを捨てるか」
A865



オークション
 W N E S
 3 P P 3
 P P P
J9
K43
AQT5
QJT74
QT82
KJ93
 あるラバーブリッジから。WestからAがリードされた。さて、ここでEastは何を捨てますか。通常の場合は、ダミーの長さと同じ長さを保持するのが良い方法なので、ここではを捨てるのがいいように見える。実際もEastはそうした。しかし、結果は。。
全体のハンドは次のようになっていた。
A865
J9
K43
AQT5
93 QJT74
QT82
AQJ9852
862 KJ93
K2
AK7653
T76
74
2トリック目WはQを続け、ダミーのKをEがラフした。ディクレアラーは3トリック目のEからのリターンをKで勝って、AKとキャッシュし、A、ラフ、そしてでEにイグジットした。EはJを取ったが、そのときSはを捨て、結局EはNのテナスに向かってリードするしかなくなった。
 このエンディングをEastは予見することができたであろうか。きっとできたはずである。Eastから見てAとトランプで2トリックの計3トリックは計算できる。するとで2トリック取れれば、このコントラクトをダウンさせることができる。Eには2回リード権が回って来ることがわかる。そのときEはをリードすることによってラフによるエスタブリッシュを防ぐためにダミーのエントリーをなくすことができる。そのとき、5枚目のをイグジットカードとして残しておけば、10トリック目でディクレアラーに振込むことができ、11トリック目にディクレアラーからフィネスをせざるを得なくなってしまうことになる。
(2)57話「荒海」
若い東洋のプレーヤーDuong Hongのすばらしいプレーである。
T9 オークション
 W N E S
   1 P 1
 P 2 P 2
 P 2 P 4NT
 P 5 P 6
 P P P


 OL:
T3
AJ873
AQ32
854 A3
Q954 876
T54 Q962
976 KJT8
KQJ762
AKJ2
54
Southは、Aであがって、Kを取り、A、K、ラフ、Aの下にハンドのを捨てた。で、をラフし残り6枚。次のような状態になった。
       
       
       J83
       Q3
   853     A3
   Q       
   T       Q9
   9       KJ
       KQJ76
       
       
       
ここで、SouthはJをリードし、ダミーのTでラフした。ここでのEastの行動がポイントとなった。をディスカードすればSはをラフ、をディスカードすればをラフし、KでEastのAに負けに行く。これで残りトリックは全部取れることになる。
ここで、Duong Hongは一瞬のためらいもなく、3を捨てた。このアンダーラッフィング・クーによってパートナー(W)のトランプがプロモーションによって昇格する可能性が生じた。SouthはをラフしてハンドにもどってKを出す。これをAで取ったEastは、4枚目のを出す。これによって、Westの8がウィナーとなった。(Southがラフでなくラフで戻った場合は、Eastはを出してトランププロモーションを図る)
 8順目にJをダミーのTでラフしたとき、Eastは、「non-material backwash squeeze」にかかっていた。そこで、Eastはをガードしたまま、トランププロモーションにチャンスをかけたのだった。
 もちろん、Southがカード配置を正確に読んでいたら、Jラフの後をラフしてハンドに戻ってローを出せば6はメークするのであるが、そのようなエンディングはとても読めるものではない。
       T9
       T3
       AJ873
       AQ32
   85       A43
   Q954     876
   QT54     962
   976      KJT8
       KQJ762
       AKJ2
       
       54
このような配置になっていたとしたら、Southが10順目にローを出すことは大失敗になるからである。
参考になりそうな、比較的わかりやすい2例を紹介しましたが、これ以外にもっと複雑な攻防もいろいろ掲載されています。



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