Play Bridge With Omar Sharif

1990年刊行。156ページ。
オマー・シャリフが実際に遭遇したハンドを自戦解説風に掲載していっています。
題材はすべて彼の実戦あるいは近くで見ていたプレイですから、トッププロの異常にすごいプレイばかりではありません。それだけに余計に生々しくて、彼の喜び、驚きが伝わってくるような気がしたものです。
おおむね9章で構成されています。
第1章 スラムゾーンでの体験
第2章 さらなるスラム
第3章 ディセプション
第4章 タイミング
第5章 おかしいハンド
第6章 ディフェンス
第7章 さらなるディフェンス
第8章 方向変換
第9章 その他もろもろ
となっています。
いくつか紹介します。

第3章 「ディセプション」から
フランスのトッププレイヤーChemlaの名プレイが紹介されています。
543
Q97
OJT95
94
J97 QT62
654 AJ82
82 74
AT853 Q62
AK8
KT3
AK63
KJ7
ビッドはSouthのChemlaから
2NT−3NTで決まり。
OLは5で、5−9−Q−
2順目A、3順目
このときWestは8、2とカウントをEastに示しました。
さてここでChemlaはどうしたか?
ハンドからKをリードしました!
Eastは?Eastから見ればSouthのはA,KダブルトンでいかにもNorthへのエントリーを作りに行っているように見えます。そこで、ホールドアップ。Chemlaは残りのウィナーを取って、無事取り逃げが成功しました。
Eastから見れば、そくAで上がってをリターンすべきなのか、ダミーへのエントリーを断ち切るためにホールドアップするのがいいのか分からない段階でのChemlaのプレイ。そのタイミングのうまさがさすが名手の技として紹介されています。

第4章「タイミング」から
次のハンド、その場では正しいプレイが分からなかったと正直に告白しています。
KT
K85
QT876
J93
943 52
AQJ64 T973
A543
K742 865
AQJ876
J92
AQT
コントラクトはSouthの4
WestのSharifはKをOL。
パートナーは少考の後、ロー
そこで、Aを取ってQでイグジットした。
ダミーのKで勝ったデクレアラーは、ハンドからを捨てて、トランプを刈り上げ、を出してダミーのQでオーバーテイク。これをEastはホールドアップ。がエスタブリッシュしなかったので、フィネスに行き、抜けて1ダウンとなった。
何がまずかったのでしょう?
3順目Kであがったのが早すぎたのです。Kであがらずにラフしておけば、後でKの下にのどちらを捨てるかを選べたわけです。何がちがってくるかといえば、同じ手順でトランプを刈り上げてハンドからJを出してダミーのQでオーバーテークしたとき、もしEastがノーるどアップすれば、そのときKの下にを捨ててルーザーを消せることになることです。
 その後の手順によって、どちらを捨てるかを決める、あらゆるゲームに共通する高度なテクニックの基本ともいうべき考え方が紹介されています。スクイズも底流にある考え方は同じですね^^

第9章「Garozzoの名プレイ」から
K632
J9
QT976
A5
JT85
K74 8632
8432
62 KJT9743
AQ74
AQT5
AKJ
Q8
ディーラーWestで、パス、パス、3とEastがプリエンプティブオープン。最終的にSouth(Garozzo)の6となりました。
OLは6。Aで勝って、A、Qとやって、片持ちが分かり、でのルーザーが確定しました。
あるデクレアラーは、そのあと、4回を回してを捨て、5枚目のを出しました。Westはラフしてを出します。これをラフしてをラフしてフィネス。抜けて1ダウン。
Garozzoはもっと良い方法を考え出しました。を4回まわすまでは同じ。そのあと、5枚目のを出さずにをラフ−キープレイです。そのあとでダミーに入り5枚目のを出しました。これでWestは窮しています。5枚目のをラフすればAQに向けてを打ち出さざるを得なくなります。実際にはWestはラフせずディスカードしましたが、トランプでスローインされ、やはりテネスに向けて打ち込まざるを得なくなりました。
成功の秘訣は? カウンティングです!Eastの3から見て、をラフしておくことによってWestのイグジットカードをなくしてしまったというわけです。

 と、こういう名プレイの数々が紹介されています^^



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