Heavenly Contracts

2007年刊行。160ページ。
1978年に「ブリッジマガジン」誌に掲載はじめられたSt Titusの僧侶でブリッジ好きの物語です。
平均より少し上手なプレイヤー(自分ではエキスパートと思っている)Abbotがおかす思わぬミスや、高級なプレイ(と自分では思っている)がオポーネントに理解されないで嘆く様が実におもしろおかしく描かれています。
全体で20章で構成されていて、それぞれが、チーム戦、ペア戦などの試合数ボードが紹介されるという形式をとっています。
少し紹介します。

第3章「Brother Aelred's Unusual Double」から
 タイタス(テトス?)寺院で開かれるペア戦でアボット僧侶がアメリカから来たかなりの「腕前のミッチェルと組んだ試合のこと。
AK
AK94
763
KJ64
T8742 Q963
QJT3
QJT5 982
T98532
J5
87652
AK4
AQ7
EWバル
ビッド
 West   North  East  South
 Aelred ミッチェル  ミカエル  アボット
         1C     パス    1H
  パス     4H     パス    6H
  ダブル    オールパス 
OLはQ。
 ダミーを見てアボットは考えた。の4枚目でルーザーを処理できるのでサイドスートのルーザーはない。とするとトランプでのルーザーを1つに抑えればよい。Westのダブルはおそらくを4枚とも持っている証拠だろう。そこで、2順目ハンドから2を出し、もしWestが3を出せばダミーの4をかぶせるつもり。しかしWestはQをかぶせてきた。そこでダミーのAで勝つ。Eastはやはりショウアウト。 ここで、2度目のフィネスをハンドに戻ってからしなくても良い方法をアボットは知っていて、ダミーから「4オブトランプ、プリーズ」とコール。で、ハンドから 8。それをTで勝ったWestは にシフトした。この手筋にアボットは満足して、6メークをなかば確信していた。あとはハンドに戻ってフィネスするだけだ。ただ、ここでどちらでハンドに戻るか。WestのQはシングルトンかもしれない。特にで勝ってを続けずににシフトしてきたということからもその可能性はありそうだ。ここはでハンドに戻った方が安全に違いない。
アボットがAでハンドに戻ろうとしたときWestは3でラフ!
あんぐり口をあけたアボット。「なんたる不運。トランプの4−0に加えても6−0だったとは。」
ここでミカエル「たぶん、あなたはビッドをよく聞いていなかったのでしょう。スラムに対するダブルはダミーのファーストビッドスーツがボイドであることを示しているのですよ。」
アボット「へ?ライトナーダブルのこと?Westがリードなのに?」
ミカエル「イングリッシュ・ブリッジ・ユニオンの規則ではパートナー同士で同じコンベンションを使うべきとされていますからね。」
ミッチェル「あなたはダミーからを出す3順目の前にAKをキャッシュしてしまうべきだったんですよ。そうすれば安全にハンドに戻れたはずです。」
 短いながら非常におもしろい物語ですが、その中にいろいろな手筋・教訓が盛り込まれています^^

第8章「The Abbot's Unlucky Lead」から
 ヨーロッパの寺院対抗スイスチーム戦が何章か続いており、その中の数戦です。
85
AKQJ
A872
A82
T2 964
T8743
KQT94 63
KQT63 975
AKQJ73
962
J5
J4
 ビッド
  West  North  East  South
  アボット  ディシプリン ザビエル  グレイス
                      1S
  2NT    X      3C    3S
   パス    4NT    パス    5S
   パス    7S     オールパス
トランプのOLがマイナースートのOLか。マイナーならの方がわずかにソリッドさが上回る。で、KをOLした。
Aで勝って、グレイスは考えた。12トップトリック。もしアボットがマイナー2スーター(いずれもKQ頭)ならでスクイズにかけることができるかもしれない。
そう考えたグレイスはを3回刈って、を4枚取り、4枚目にを捨ててラフ。でを走る。最後のポジションは
     ノース
      
      
      
      A8
イースト      ウェスト
          
          
 Q        
 KQ       975
     サウス
      
      
      
      J7
最後のトランプ7でアボットはシンプルスクイズにかかり、7はメークした。
アボット「プレイは一本道なので裏も同じでフラットボードでしょうね。」
グレイス「のOLならダウンすると思いますよ。」
アボット「あなたは両マイナーともJダブルトンなので同じでは。」
ザビエル「いや、マイナースートをラフしてハンドに戻ることになったとき、私の9がダミーの8に対するガードになっていますね。」
ディシプリン「パートナーはをビッドしていましたしね。。」

こういう感じでおもしろおかしく物語は続いていきます^^



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