Expert Tuition For Tournament Bridge

1998年刊行。126ページ。
1997年のゴールドカップに出て惜しくも優勝をのがした時の64ボードを振り返って、何を失敗したのか、どうやったらそれを防げたかを反省するというセッティングになっています。ゲーム後の適切なレビューの大切さを説きつつ話は進んでいくというものです。
何ボード分かを紹介します。
なお、チーム戦の設定は、NSがSally BrockとDavid、EWがRaymond BrockとJohn Collingsということになっています。

○第1セット−ディール4
 ボスバル ディラーWest
AQJ84
AQ7
AKQ2
K9
KQT965 J432
T984 KJ62
T873
T7632
A8
53
J954
レイモンド側の状況
 S  W  N  E
    2H X  3H
 3S P  4N P
 5D P  6S All Pass
レイモンド「私はKをリードした。デクレアラーはAで勝ちすぐにをフィネス。それが通ったのでを刈り上げて、でハンドに戻ってをフィネス。Eastに抜けた時点でクレームだった。君の方は?」
サリー「私たちの方のビッドは
 S  W  N  E
    3H X  4H
 4S P  6S All Pass となって
やはりKのOL。私はハンドのAで勝った。この段階でK、KいずれもEastが持っているように見えた。そこで、シングルトンKに備えてまずAを取ってみた。Kが出なかったので、でハンドに戻ってをラフ。それからを続けた。もしEastがKでラフすればその段階でEastはスローインされたことになり、AQに向かってを出さざるを得なくなると。。しかし実際をラフしたのはWestでフィネスもきかず1ダウンでした。」
レイモンド「了解。そのラインの方がたしかにもっともらしい。高いレベルのプリエンプティブの方がサイドスートの「K」を持っていないというイメージをいだかせるから。その意味では、私も3でオープンすべきだったかもしれない。しかし、バルだったし、3は少しやりすぎに思えたので。じゃ、次のボードに。」

○第1セット−ディール6
 EWバル ディーラーEast
AKQ32 ビッド
S  W  N  E
         1C
P  1D 1S 3C
P  3S P  5C
All Pass


K62
J4
975
T965
984 J73
AK863 Q97
AKQJ86
874
AQT5
T52
T42

レイモンド「わがテーブルでは、33メークの110点ジャストだった。君のテーブルではどうやって5を作らせたわけ?」
サリー「デビッドがベストを尽くせなかった。私は7をOLし、デビッドはQで勝ちました。デビッドは私がダブルトンであることを期待してを続けたところ、ラフされ、を刈り上げられ、の下にを2枚捨てられクレームされました。デビッドは仮に私がダブルトンだったとしてもダウンさせるにはでも1トリック必要であるので、2順目にKをキャッシュしてみるべきだったと思う。」
レイモンド「君の感想はちょっとフェアじゃないかも。ビッドからEastはA,Qを持っていそうだとデビッドは考えたんじゃないだろうか。で、君がダブルトンに加えてJxxと持っていたなら、を3回続けることによって君のトランプがプロモートできると。」
サリー「たしかに、その方がありそうなパターンですね。デビッドには失礼しました。」

○第4セット−ディール25
 EWバル ディーラーN
865 ビッド

S  W  N  E
      P  1S
P  2H P  3C
P  3D P  3S
P  4S P  5D
P  6S All Pass
975
K953
J95
K3 AQJT97
QJT62
762 A8
A74 QT62
42
K843
QJT4
K83

サリー「ベストビッドされ、ベストリードを見つけたけど、のルーザーオンルーザーのプレイがあるので、6はどうやってもメークしそうに見えます。」
サリー「私はをOL。EastはハンドのAで勝って、Aをキャッシュ。A,Kと取りつつダミーにわたり、Qを出してきた。私はKで勝って、ここでを出さないと、トランプを刈り上げられた後ダミーに入られて3枚の下にを全部捨てられてしまうので、Kを出した。しかし、惜しいことにEastののい内容も良く、Jで2を捨てた後、を出してTでフィネス、それが通ってクレームとなりました。」
レイモンド「Kは鋭かった。しかし時すでに遅しだったというわけで。私たちのテーブルではサウスはKをダックしたんだ。」
サリー「Jが続くと?」
レイモンド「それを待ってサウスはKで勝ち、さらに4枚目のを続けてきた。ノースはラフ、Eastのジョンはオーバーラフ。問題は(本来ならを捨てるのに使うはずのを1枚ラフせざるを得なくなって)を3枚ディスカードすることができなくなったことで、Kに負けざるを得なくなってしまったわけ。Qが勝たされた時にをプレイすればメークしたけど、それはむずかしいと思う。」
サリー「なるほど!一般的にフィネスが効いていないときにオポーネントがフィネスしてきてもダックするのが普通正しいことが多いけどラッフィングフィネスの場合もそうだとは.」

 などど、興味あるポストモーテムが続きます。こういう形でプレイ後の感想ができればいいなぁと思います。



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