a BRIDGE to simple squeezes

2007年刊行。151ページ。
2006年に初版だ出てそれが2006年ブリッジブックオブザイヤーを受賞したとのことです。これは、その第一次改訂版だそうです。
たしかに「ブックオブザイヤー」を受賞した著作物はいずれもとても分かりやすく読みやすい点に特徴があります。
全体構成は
第1章 強い脅し札
第2章 仮定と落とし穴
第3章 ポジショナルスクイズ
第4章 オートマチックスクイズ
第5章 シンプルスクイズ成功手順のサマリー
第6章 スクイズのディフェンス
第7章 強い脅し札の開発
第8章 単純でないシンプルスクイズ
     ショウアップスクイズ(カウントスクイズ)
     メモリースクイズ、クリスクロススクイズ
     トランプスクイズ
第9章 ダブルスクイズ、トリプルスクイズ
となっています。
実戦でシンプルスクイズが普通にできる方にとっては、新しく得るものはほとんどないと思われますが、同じハンドで様々なポイントを説明していっていますので、そこまで達していない方にとっては、考え方が明確になるなど得るところも多いかと思います。
少し紹介します。

第1章「強い脅し札」から
 本書の特徴は、スクイズを成功させるためあるいはスクイズを感じ取るために最も大事なものは。「どれが脅し札かを見極めること」だとして、練習問題もふんだんに取り入れ、脅し札を探す訓練をさせていることです。
  N:Q2
  S:A3
こういう組み合わせだと、「K」はだれか一人しか持っていませんので、そのだれかに対して強い脅し札になります。
  N:J2
  S:A3
こういう組み合わせだと、KQがオポ一人で持っている場合はそのオポに対して強い脅し札になりますが、KQを別々のオポが守る可能性がありますので、「J」は弱い脅し札になります。
  N:AKQ3
  S:752
あるスートでNSがこういう持ち方をしているとしたとき、オポが3−3ブレークなら「3」は即ウィナーになりますが、それは36%、ですので、それ以外の場合「3」はどりらかのオポに対して強い脅し札になります。
 こういう調子で続き、脅し札の整理が明確になされていますので、脅し札を発見しやすくなることは確実です。
 また、その後のハンドでは、強い脅し札には下線が常にひいてあります。

第2章「落とし穴」から
スクイズに当たって、失敗するポイントを4つに整理しています。
ミステイク1:脅し札を含むスートをディスカードしてしまう
  ことによって、脅し札でなくなってしまうこと。
ミステイク2:脅し札をキャッシュするためのエントリーを
  使ってしまうこと。
ミステイク3:隙渦カードの下に何を捨てるかを間違えること
ミステイク4:1トリックを除いてあと全部取れる状態に持って
  いくことを失敗すること。
この4つです。
例として下図をあげています。
42 ビッド

W  N E S
1H P P 3NT
All Pass



OL:
42
J65
JT5
Q86 T973
JT986
T97432
AKQ9 84
AK5
KQ7
AKQ
7632
このハンドでは、Jと5が明らかな脅し札になります。
したがって、こおの2つの脅し札を組み合わせることによ9って、Westをスクイズにかけることができます。
OLがAでWestがを4つ取ります。その後JをKで勝ちます。
 ミステイク1−4枚目ののとき、Northからはを捨てないといけないのに、を捨ててしまうと、Jが脅し札にならなくなってしまいます。
 ミステイク2−スクイズカードであるを3枚取る前にを3枚とってしまうと、Northへのエントリーがなくなってしまいまうsので、3枚目のの下にWestはやすやすとを捨てることができ、スクイズが成立しなくなってしまいます。
 ミステイク3−JをKで勝った後、A,KをキャッシュせずにただちにAKQと取ったとします。
すると下のようになり
42
Q86 T973
T98
T9
AK5
K7
ここでQを取ったとき、Westはたしかにでスクイズにかかっていますが、その持ち方がまだ明確になっていないので、Northから何を捨てていいのか分かりにくいところがあります。そこで先にAKと取っておくことによってWestの持ち方をはっきりさせておくことが大事になります。
 ミステイク4−これはWestがを4つ取った段階で、8ウィナーありますから、スクイズに必要な状態がセットされていますのでこのハンドでは問題になりません。具体例は後に示します。
となっています^^

第4章「オートマチックスクイズ−類似例の比較」から
形が良く似た2例をあげて、なぜ片方がポジショナルスクイズにしかならないのかを解説しています。
その2例とは
例1.
653 ビッド
W  N E S
1N P P 3H
P  4H





OL:
32
A643
KQ42
KQJT A94
T8
KJ5 T987
AJ98 T7653
872
AKQJ9765
Q2

例2.
AQ ビッド
W  N  S E
1S P  P 1N
P  2N P 3N





OL:

A43
942
J83
JT964 87
KT5 J976
T8753
AKQT 96
K2
82
AKQJ
7542

それぞれの最終形は
例1. 例2.
AQ
A6
T96
J97
KJ T9

いずれのハンドもダミーにAがあり、ハンド(South)にはQが強い脅し札としてある。
例2で方は、QのあるスートのAを先に取って(ビエナ・クー)オートマチックスクイズに持ち込みました。
ではなぜ例1ではダミーのAを先に取ってビエナ・クーに持ち込めないのでしょうか。それは、そうすると、スクイズカードの5をキャッシュしたときWestは楽々Aを捨てられるからです。そうするとせっかく勝てるようになったダミーのKを取るエントリーがなくなってしまってKが取れなくなってしまっているのです。つまり、AはKを取るためのダミーへのエントリーとして残しておく必要があるのです。

「あと書き」から
 今後読むべきスクイズ関係の著作として次の4冊を推奨しています。
「The Simple Squeeze」8David Bird and Tim Bourke」
  本著書の理解をさらに深めるものとして推奨しています。近年 の刊行物で36問からなるシンプルスクイズの問題集です。

さらに高度なスクイズの勉強をするためにとして3冊
「Bridge Squeezes Complete」(Clyde E.Love)
  古典的なスクイズの著書で、昔の人はスクイズの勉強のために ほとんどの人がこの本を持っています。

「Bridge Squeezes for Evryone」(David Bird)
  基礎的なスクイズから高度なスクイズまで実に明確に書かれて
 います。

「Kelsey on Squeeze Play」(Hugh Kelsey)
  500ページの大著ですが、とても読みやすく分かりやすく
 書かれています。



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