2007年刊行。183ページ。
ビッド、デクレアラーのプレイ、ディフェンスの3章に分けて、上手と下手とではどこがどう違うかという観点から、分析、著述がなされています。
冒頭のイントロで、上手と下手を分けるものは何か、上達するためのコツは何かという点について端的に書かれています。
つまり、上手と下手を分けるものは、ほとんど出てこないエントリースフティングトランプスクイズやデビルズ・クーができることではない。第一に、ちょっとしたチャンスをとらえてビッド、プレイで得を図ること。第二に、できるだけ単純なエラーを避けること。
この二つであるとされています。この本では 具体的にどうちがうのかを示すとしています。
この二つってあらゆるゲームに通じることかもしれませんね。読みは鋭いけど、細かいところは苦手、思わぬミスをする、こういう人は結局実力がないのだと 他のゲームにあてはめるとよ〜く分かります^^
全体構成は
第1章 ビッディング
ハンド評価 サポート・ウィズ・サポート
トラブル・スポット テイクアウトダブル スラムゾーン
オーバーコール 戦略的ビッド より効果的なプリエンプト
第2章 ディクレアラー・プレイ
確率:何を知っていなければならないか
エリミネーション 13をカウントする 集中力
スポットカード コミュニケーション
危険を察知する サイドスートの開発
オポーネントを過小評価することについて ホールドアップ
フィネス セカンドハンドハイ スクイズ
ディセプティブプレイ カードコンビネーション
熟慮すること
第3章 ディフェンス
オープンニングリード トランプでのトリック
あきらめない 方向変換
となっています
いくつか紹介します。
第1章「ハンドの評価」から
「What did you want me to bid, partner」
NSバル
アマチュアのビッド
K5432
K63
KT875
K8752
AQ943
QT
9876
JT752
94
3
AJ
JT6
AJ
AQ8
Q9642
W N E S
P P 1S P
4S X All Pass
エキスパートのビッド
W N E S
P P 1S P
4S X P 6C
All Pass
4Xは1ダウンの100点。
これに対してエキスパートのテーブルでは、パートナーのダブルは、良いディストリビューションとニアマキシマムのパスハンド、そしておそらくはボイドと、エキスパートは読んだ。ということは
の絵札をのぞく30hcpでのハンド評価をするということになると読んで6
。+1370。
「Support with Support」から
現代のブリッジでは、競り合いにならないことはまれなので、可能な限りパートナースーツをサポートするのが鉄則であるとしています。その上で、以下続きます。
「Lenght is strength」
メクストロスから著者が教わったこととして、仮にあなたが6枚スートをビッドして、パートナーがフリーでレイズしてきた場合にはゲームをビッドすべしと書いています。(^_^)3 フムフム
例として
があげられています。
AQ9763
84
5
AKJ3
J5
42
J92
AKQ5
T6432
KQ
T96
Q8752
KT8
T753
AJ987
4
Eastの1オープンからパス−パス−1
−2
−2
−パスとなってNorthが4
と言うか3
と言うかで明暗が分かれるというものです。
ま、ちょっと極端な例かもしれません。。
この他、オーバーコールで気をつけるべき原則、さらにはタクティカルビッドでは非常に興味あるビッド戦略が紹介されています。
第2章「エリミネーションプレイ」から
「ちょっとした準備」
ビッドは、アマチュアもエキスパートも同じです。
A95
ビッド
W N E S
1D X
P 2D P 2H
P 4H All Pass
OL:Q West
A765
QJ
A654
T73
J864
92
KQT
432
AT965
QJT98
3
KQ2
J843
K87
K72
OLのQも同じ。
−アマチュアのプレイ−
Qをダミーの
Aで勝って、
Aをキャッシュ。次も
、Eastは
K,Qと取って、
A、スモール
。
ルーザーを処理できずに1ダウン。
(普通のオープンでない日本の試合では結構お見受けするパターンですね。。)
−エキスパートのプレイ−
OLのQは貴重な情報とエキスパートは受け取ります。つまりWestは
QJと持っている。ということはEastは残りの10hcpを全部持っているであろうことがここで分かります。そこでダミーの
Aで勝つことまでは同じですが、2順目は
をプレイします。Eastは
Aで勝って
リターン。これを勝って
A、
K、
K、そして
をさらに2回取って2回目にダミーに入ります。そしてダミーから
を出します。これをラフしても何も得るところはないのでEastは
をディスカード。
Kで勝って、最後は
でEastにスローイン。
この他、各項目の冒頭でそれぞれのプレイ、ビッド技術に関する基本的な考え方が記されていて これも興味深いです。
例えば、「スクイズ」の項では
スクイズプレイは複雑で美しくてカードプレイの奥深い面を見せてくれるプレイだが、しかし、マスターになるために必要な技術の大きな部分を占めるとはいえない。伝説的な名手Giogio Belladonnaも スクイズプレイを知らない人も偉大なチャンピオンになりうると述べていると。
この他にもそれぞれのところで興味あるコメントがなされています。
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