Things your Bridge Teacher Won't Tell You

2006年刊行。158ページ。
著者の Dan Romm氏は、世界のトッププレイヤーポール・ソロウェイの最初の頃のパートナーで、途中で、デュプリケートからラバーブリッジ派に転向してラバーブリッジ一筋でずっとプレイしてきたと自己紹介しています。
で、長い経験を積んで、勝利を積み重ねて得た自分なりの結論、勝つ秘訣をまとめてみたとあります。64歳にして初めて書き記す、そして最初にしておそらく最後の著作であろうと記しています。

全体構成は、
第1章 エキスパートであるための要素−ブリッジの5つの側面
 ・サイコロジー:テーブルプレゼンス、注意深さ
 ・プラニング
 ・テクニック(カウンティング、推論)
 ・融通性
 ・ジャッジメント
第2章 コツ
 ・ダブル ・ノートランプのオープナー ・忍耐
 ・良いスーツとは? ・リードダイレクティング
 ・キュービッドの技術 ・オープニングリード
 ・ディフェンシブシグナル ・トランプマネジメント 
第3章 コンベンション(良いものと悪いものと)
 ・リバース・ドルーリー ・ただちのキュービッド
 ・パペットステイマンと4ウェイトランスファー
 ・シングルトンショウイング(スプリンター等)
 ・ウィーク2−ダブル後のレーベンソール
 ・2−2 ・AアンドKキュービッド
 ・4枚メジャー 
 ・ストロングジャンプシフトvsウィークジャンプ
 ・サポートダブル、リダブル
 ・高い台でのネガティブダブル
 ・1NT−ダブル−? ここでのシステムオン
 ・1NTオープナーのネガティブダブル
 ・ハミルトン(カペレッティー)
 ・ファーストアライバルの原則 ・バランシング1NT
 ・マルチ2 ・2ウェイニューマイナーフォーシング
 ・4thスートゲームフォーシング
 ・ナムヤッツ
となっています。
たしかに、あまり本に書いていないこと、しかしエキスパートは考えている側面を 豊富な著者の実践例をもとに 掘り下げているという感じはします。また、エキスパートでも解説をミスったり、後でもっと良い考えが浮かんで説を変えたりすることもあるのだから、エキスパートだというだけで無批判にご高説を受け入れす、自分で検証なり再考してみることが大事だと述べています^^

 いくつか紹介します。

第1章
○「心理的側面:テーブルプレゼンス、注意深さ」から
 いくつかのブロックにわかれています。まず最初がテーブルプレゼンスで、1960年代後半、ブルーリボン杯で ラリー・ヴァイス−ポール・ソロウェイペアと対戦したときのボード。
 パートナー xx xx AQJTxxx xx
 自分    QJxx AQxx xx AQxx
OLはJ−x−K−Aとなって、ハンドからを出してフィネス、成功、ハンドに戻って再び、LHOのラリーはフォロー、でAを出してソロウェイのダブルトンKが落ちててきた!
なぜ、ソロウェイがKxと持って最初ダックしたと読んだのか、当時は誰にも言わなかったが今言うとして3つの根拠を上げています。それは、
 1.最初1順目ソロウェイがKを出したときLHOのラリーが
   嬉しそうな顔をした。
 2.2順目ののときラリーがハイを出してソロウェイに事情
   を知らせようとして
 3.ソロウェイが、良いプレイを見せようという顔をしていた
ほほ〜〜!!

 次が「良きパートナーであれ」です。
ブリッジはパートナーシップのゲームであり、パートナーを大切にすることはこのゲームの非常に重要なポイントだと述べています。オポーネントの前でパートナーを非難することは非常に低いレベルでの自己満足に過ぎないと手厳しいです。。著者が賭けラバーブリッジで勝利をおさめてきたのは、ひとえに上手でないパートナーに敬意を払って接してきたからであると述べています。
私自身も自戒すべき重要事項と、熟読しました。

○ジャッジメント
 オフェンシブハンドとディフェンシブハンドとで、どう守るかどう攻めるか、競り合い、ビッドのコツが詳細に述べられています。

第2章
○辛抱することの大事さ
 QT9xx Kx Qxx KQx
Southで こういうハンドを持っていて、
LHOのWestから
−パス−1−?と回ってきたときはパスがベスト。
その後LHOが2とレイズし、パス−パス−?と回ってきたとき そこで2とビッドすればいい。
他方、このようにオポ二人のビッドにはさまれることなく、RHOのEastからビッドがはじまったときは、1とオーバーコールすべき。

○良いスートとは?
 「そのスートがトランプであると仮定して、パートナーがボイド、オポのそのスートは可能な限りイーブンに分かれていると仮定して、最大2ルーザーであるときは、そのスートは良いスートであると判断する。」
それによれば
(1)3枚カード:Axx、KQx、KJT、QJT
(2)4枚カード:AKxx、AQJx、AQT9、AJT9、
    KQJx、KQT9、KJT9、QJT9
(3)5枚カード:オポスートが4−4ブレークであると仮定
    するので、(2)と同じ。
(4)6枚カード:オポスートが4−3ブレークであると仮定
    するので、これまた(3)と同じ。
(5)7枚カード:オポスートは3−3ブレーク。なので、
    Axxxxxx、KQxxxxx、KJTxxxx、
    QJTxxxx
(6)8枚カード:(5)と同じ。
(7)9枚カード:オポが2−2ブレークなら常に良いスート

第3章 コンベンション
 著者は、基本的に一つのビッドに二つ以上の意味を持たせるのはやりすぎで失敗することが多いと批判的です。
○ハミルトン(カペレッティー)
 このコンベンション自体に反対ではないですが、1NT−2)というナチュラルな2の代のオーバーコールを逃がすのが惜しいとの理由から改良版を提唱しています。
オポの1NTオープンに対し、
 2:マイナーの1スーター または メジャー+マイナー
  パートナーは2とレスポンス
   マイナー1スーターがの場合はパス
   マイナー1スーターがの場合は3
   メジャー+マイナーの場合はメジャーをビッド
    パートナーがマイナーを聞きたいときは2NTで聞く
 2:ボスメジャー
 2スーツ
 2スーツ
 2NT:ボスマイナー
 ダブル:ペナルティー
とするというものです。
これってもしかしたら最近、ニューカペレッティーあるいはヘルムズ2などと称して使い出しているコンベンションと同一かも?

○ファーストアライバル
  West    Eest
   1S      2D
   2S      ?
  ここでEastはサポートのあるミニマムのハンドなら4
  とビッドするのがファーストアライバルですが、その必要性
  があるのか、ビッディングスペースをわざわざ奪う必要性は
  ないのではないかと否定的です。

○ニューマイナーフォーシング
 著者はワンウェイ・ニューマイナーを推奨し、トゥーウェイニューマイナーフォーシングは薦めないと書いています。
 QJxxx Kxx x Jxxx
こういうハンドを持っていて
−1−1NT−?
ワンウェイニューマイナーフォーシングを使っている場合は、ここで、2サポートを示すことができ、さらにオープナーがを3枚持っているときは2とサポートできる。
トゥーウェイニューマイナーフォーシングの場合は、2といった時点ではハンドの内容がオープナーにまdまだ判然としていないのでうまくビッドできないとしています。
 また、オープナーの側として、仮に1−1−1NT−2となった場合、オープナーが3枚、4枚持っているときに、本ではよく4枚サポートを示すのが優先すると書いてあるが、パートナースートのを先に示すべきとしています。

など興味深い記述がなされています



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