Back Through The Pack

 2006年刊行。265ページ。
 スペートのエースからクラブの2にいたるまでの 52枚のカードがプレイ上のキーカードとなるようなハンドを集めて 52話にまとめた本です。1話につき2〜3の手筋が紹介されていっています。
 話は、各カードがあたかも生きている人形のようにそれぞれが会話しながら物語が進んでいきます。 昔の名著に「Right Through The Pack」というのがあります(まだ読んでいない)。書名はそのパロディー的になっているのでしょう、おそらく。
実に様々な手筋(デクレアラープレイ、ディフェンス)が盛り込まれています。手筋についての一定の知識、ノウハウの蓄積がないとわけが分からなくなるかもしれないですが、たとえば「6」に関してどういう物語が入っているんだろうとわくわくしながら読みはじめていくことができます。
 盛り込まれている手筋とは、フィネス、カードコンビネーション、ダック、スクイズ、アンダーラフ、エンドプレイ、ルーザー・オン・ルーザー、アンブロック、競り合い、Kをプレイするタイミング、OL、トランプクー、ダブルスクイズ、プログレシブスクイズ、シグナル、トランプコントロール、ディセプティブプレイ、セカンドハンドハイなど様々です。
 いくつか紹介します。

第1章 Aの物語
     −パワー・アンド・レスポンシビリティー−
KQT876 W  N  E  S
         1C
P  1S P  3C
P  3S P  3NT


OL:
T92
K2
32
AJ93
J73
AQ95
Q6
OLの3にダミーから2が引かれた。WestはQで勝つ。ほとんどのディフェンダーはここで、ほとんど考えずにAも取ることだろう。しかし、Eastはもう少し考えた。デクレアラーSouthのハンドを考えてみた。
2 AK4 J54 AKT874
  AK4 J64 AKT8754
  AQ4 J64 AKJ9874
Westの4thベスト3のOLとダミーからローを引いたプレイからの配置は明らかである。
は6枚か7枚持っていても複数の絵札を持っているにちがいない。
最初のハンドならどうやってもメークしない。2番目のハンドなら落とせない。問題は3番目のようなハンドの場合だ。この場合は、いずれをリターンしてもメークする。ここではAが正解となる。
KQT876
T82
K2
32
542 AJ93
K865 J73
T873 AQ95
T5 Q6
AQ4
J64
AKJ9874
AのときにSouthは捨てるものに困る。を捨てればEastからがリターンされ、QフィネスがWestのKに抜け、リターン。Eastはダック。で、Southは1、7しか取れない。を捨てればを4つ取られてが来る。を捨てれば、A,とされて先に5トリック取られてしまう。
結局2トリック目に出暮れアラーがスクイズにかかったということ。 なるほど!

第23章 7の物語
      −インテリア・ストレングス
A864 ビッド
S    N
1S   2S
4S





OL:
A32
T72
T75
JT97
QT85 KJ94
J8654 93
K962 J54
KQ532
76
AKQ
AQ3
5のOLを受けて、Southに座っていた教授はダック。Kで勝ったEastは9をリターン。これをAで勝って、Kを取ったところWestはをディスカード。考えどころ。
で1トリック、でも1トリック負けるので、の負けを1トリックに抑えないといけない。そこで、A、ラフとし、をさらに2個キャッシュ。Eastは小考の後をディスカード。
残り6枚で次のようになった
A86
T75
JT9
K962 J84
Q53
AQ3
ここで8順目、教授はQ,Aと取る。Westは2とQを捨てる。ここで教授はダミーから5を引く。Eastはここでかぶせないとそのまま流されてWestにスローインされてしまうので8をかぶせる。教授はQでフィネスし、WestがKで勝つ。Westはを返してもラフ・アンド・ディスカードされるので、6をリターンして、デクレアラーにゲスさせる。ここで、ダミーから7を引くのには2つの根拠がある。
第一、EastがJ9xかJ8xである可能性は98xであるのときらべて2倍の可能性。
第二、98xならEastは2順目よりにシフトした可能性が高い。

第29章 Kの物語
      −マスター・タクティシャン

      North
       K8
       8532
       KJ8642
       
     
      South
       AJT
       AK
       Q53
       KT987

ビッドはSouthから、1−(2)−X−パス−3NT
WestからののOLで、どんなディストリビューションでも必ずメークする。その手順を考えなさいという教授からの宿題で、生徒のマットとフィルが考える。
フィル「が4−0ブレークのときが問題。それ以外ならAを追い出せば簡単にメーク。」
フィル「(2順目Southからの)スモールがよくないのは分かる。EastはそれをAで勝って、ダミーのエントリーを飛ばしにくるかを開発しに来られるかになるので。」
マット「2順目はたぶんQが正解なんだろう。これをEastが勝てば、後でもう1回をダックすればいい。」
フィル「QをEastがダックしたら?」
マット「そのときはをあきらめてを開発しに行けばいい。Kをプレイして、誰かがAで勝ってを打ってくれば勝って(でハンドに入って)Qに負けにいけばOK。」
フィル「しかし、でなくが返ってきたら?Qに負けにいって、またが返ってきたら、ダミーのKを取れなくならない?」
マット「やっと全部分かった。次のようなディストリビューションに備える必要があるんだ。」
K8
8532
KJ8642
Q97642 53
974 QJT6
AT97
AQ63 542
AJT
AK
Q53
KT987
マット「2順目にはKを出すのが正解と思う。WestはAで勝ってを返すのが最善。これを勝ってKでダミーにわたってダミーからをQに向けてリードする。ここでAが上がればどういうブレークであってもが走れてしまう。なのではダックされてQが勝つ。ここでを1トリック確保できた以上、を負けにいけば、3、2、1、3の9トリックが確保できることになる。」
(^_^)3 フムフム

このように、いろいろな手筋が盛り込まれています^^



戻る

レビュー4へ

トップへ

次へ