Matchpoint Defense

2006年刊行。199ページ。
チーム戦(imp戦)でなはいマッチポイント戦のディフェンスのコツについて分類して解説がなされていっています。
生ブリッジで両方の試合に出てる方が読むと 実感をもって感じることができ、技術も身につくと思います。
全体で12章からなっていて、最後の第12章は問題編です。

いくつか紹介します。
序章「ディフェンスの基本理念」から
 マッチポイントのゲームは次の二点で他のゲームと異なるとされています。
第一:すべてのトリックが大事であること
 imp戦はメークするか落とすがが大事であるのに対し、マッチポイント戦(MP戦)では すべてのトリックが大事。

第二:フィールド内はオポの技術レベルが一律でないこと
 ナショナルのレベルの試合でもこれは同じである。
 ミステイク、ミスゲスなど優れたディフェンダーにはマッチポイントの種がごろごろ転がっている。他方、アグレッシブにディフェンスするかパッシブにディフェンスするか、コントラクトを落としに行くかオーバートリックされないようにするかを常に考えながらプレイしなければならない。どちらを選ぶかの判断基準は、コントラクトが通常か異常かによる。

第1章「Stake」から
 26ボード1セッションのゲームでは、各1ボードは約4パーセントの価値がある。数年間の蓄積したデータによれば、次のような結果が言える。
 パートスコア オーバートリックされ 1パーセント
        セット        2パーセント
 ゲーム    オーバートリック   1パーセント
        セット        2パーセント
 スラム    オーバートリック   1パーセント
        セット        4パーセント
 ダブル    オーバートリック   影響なし
        セット        3〜4パーセント
(^_^)3 フムフム

第3章「オープニングリードについての考え方」から
 オープニングリードに関して MP戦とIMP戦との最も大きな違いは、パッシブなOLにある。MP戦ではパッシブリードがIMP戦と比較して より一般的なOLであり、より望ましいOLであり、より成功を収めやすいOLである。
1NT(ウィークNT)−3NTとなって、WestのあなたのOL。
全体は下図。またはのOLは損する。ノースがパスしていることからイーストが結構絵札を持っていることも想定できるので、パートナーの持っていそうなスートめがけてのパッシブなOLが正解となる事例である。
86
T965
AQ7
7642
K953 JT2
KJ82 Q4
85 JT92
853 AKQT
AQ74
A73
K643
J9
第5章「中盤でのアナーカードのリード」から
 中盤では、全体のレイアウト、カード配置が分かってきているので、オープニングリードの定石と異なったリードをしなければならない場面もあると書いてあります。
例えば、Q973と持っていてQからオープニングリードをする人はいないでしょうけど、中盤で
       K54
  Q973     AJ62
       T8
というカード配置の場合、Qのリードが、ただちに4トリック取る唯一の手段ということになる。
AQ3
32
J753
J953
642 T98
KT54 AJ872
Q2 T864
T642
KJ75
Q9
AK9
AKQ7
ビッドはSouth−Northで1NT−3NT
Westは4というアグレッシブなOLをした。4人全体のハンドが見えていると何が問題だと思うかもしれないが、
1トリック目EastがAで勝って4thベストの7をリターンしたとする。Southからは9、Qの順。ここでWestは迷うことになる。 もしSouthがQJ98と持っているのであればEastが他のスートでエントリーあることを期待しダックする方が良い。しかし、このハンドのような配置だとすぐにを5つ取らなければならない。IMP戦だと、セットするかがポイントであり、セットするためにはを打ち抜くしかなさそうなので、を続けるしか考えにくいが、MP戦だと全く別の心配をしなければならなくなる。QJ98と持っていたSouthにをさらに続けていくと460マイナスとなってしまうおそれがあるからだ。
 そこで、EastはAで勝って4thベストの7を返すとWestからはA72からの7と見えるかもしれないことを考慮し、4thベストではなく5thベストの2を返す! 4thベストのスポットカードがパートナーからみて分かりにくそうなときの戦略として紹介されています^^

第6章「ダブルのかかったコントラクト」から
最大値を追求しよう
76 ビッド
W  N  E  S
1S P  2NT3D
4D 5D X



2NT:ソーシングSレイズ
4D:Dシングルトン
953
8754
QT92
QJT52 A983
A4 KQT87
K6
A7653 84
K4
J62
AQJT32
KJ
EWバルで。1トリック目のOLをAで勝ってさて。
もしEastがシングルトンならば、2NTでなくスプリンタービッドをしたかもしれない。
もしEastが6枚ならば2NTでなく2とレスポンスしたかもしれない。
もしWestがボイドなら、Eastのダブルにもかかわらず5とビッドを続けたかもしれない。
以上のことをEast,West双方で考えて、Southのハンドは2362のディストリビューションが最も可能性が高いと双方ともに推論すべき。
その上で2トリック目、Eastは8にシフトすべき。でSouthがKを出したらWestはダックし、SouthがJを出したらWestはAで上がるべき。
仮にKを出してダックされた場合、Southのベスト手段はKを取ってJで負けに行くことであるが、そのときWestは Aで勝って、A,4と出す。QKと3回勝って、Eastは4枚目のを出す。ダミーに入れずのフィネスができないSoutは4ダウンのマイナス800が確定。もし4枚目のをダミーでラフしようとするとWestの9が生きて、5ダウンのマイナス1100となる。 注意すべきこととして、もしWestがスモールしか持っていなかった場合には、3回目のKをラフしてをリターンする必要があること。SouthはNorthのハイをハンドでラフせざるを得なくなっている。
 ちなみに、5というビッドをしてしまったNorthはアメリカのナショナルチャンピオンに何回もなったことがある選手で、5の台のビッドのむずかしさを表している。

 などと続きます^^



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