Play Bridge with Mike Lawrence

1983年刊行。227ページ。
フライトAマスターズペア戦にアレックスとマイク・ローレンスが組んで出たという設定で、2セッション、26ボードX2の52ボード全てが自戦解説風に展開しています。
各ボードごとにマッチポイントの評価(エスティメイト)がなされ、セッションごとに実際のマッチポイントがどうだったかが表になっています。
 私にとっては、マッチポイント戦(MP戦)のエスティメイトの仕方がよく分かったのと、マッチポイントの戦い方のこつのようなもの、それからボトムをとっても落胆したりあせったりしないことなどがよく分かりました。実際に試合に出て、ある程度わかってきた段階で読むと非常に有効かと思います^^
いくつか紹介します。(満点は12MP)

「セッション1−ボード18」から
ノンバル
 アレックス  A763
  (N)   Q8
        A3
        AJ532

 私(S)   KJ2
        J963
        842
        KT8
ビッドをめぐる解説は省略
 W  N  E  S
       1D P
 1H X  2D 2S
 P  3S All Pass
OLは7。
これをダックうるかどうかが最初の分岐点。ダックしてEastがAxとかKxで にスイッチされるとダウン。
他方ダックしてWestのを失くしておくと後々有利なことも生じる。ただし、Westのがシングルトンである危険性もある。
 そこでAで勝つ。EastはKを捨てる。これがソリッドを示すのかのスーツプリファランスなのかは分からない。しかしどちらにも備えたプレイをする必要がある。2順目Jをフィネスし、Kを取る。LHOは4−8とフォロー、RHOは5−10とフォロー。は3−3のようだ。RHOがQT95の可能性もあるが、それならばビッドでアレックスのダブルに対しRHOは1とビッドしていたかもしれない。3回目のを回し、が3−3ブレークであることが判明。
 ここまでで9トリックは確定。10トリック確保するためにはQを当てなければならない。RHOはQT5、KQJTxx、またハイももっていそうだ。ということからすればLHOがQを持っていそうだ。LHOはAかKの絵札1枚では1ではなくパスしたであろうから。そこでK,TとやってLHOのQを捕まえた。4メーク。
 4が結果的にはできていたが、3−3、のフィネスがいずれも成功、3−2ブレークが必要で計10%以下の確率である。
A763
Q8
A3
AJ532
984 QT5
KT7542
75 KQJT96
Q4 976
KJ2
J963
842
KT8
○マッチポイントの評価
 このカード配置だと3NT4メークがベスト。しかしなかなかビッドできそうにない。したがって34メークはほとんどのNSに勝っているだろう。ただし、EWはで5トリック、で6トリックまでしかないので、ビッドしてダブルをかけられていたら悲劇だ。ま少なくとも2や3をビッド、ダウンして150取ったNSには勝っている。そこでアベレージプラスと読んで8MPと置く。
(実際は9MP)

「セッション2−ボード6」から
They バル
 T6432
 Q3
 
 AKJT4
RHOが1オープン。私は2。これはの2スーターを示す約束だ。の5ポイントが無価値になるかもしれない持ち方ではパスすべきかもしれない。imp戦だとパスしただろう。しかし、これはマッチポイント戦。黙っていては勝てない。
LHOは3とレイズ。アレックスは4とレイズしてきた。
AJ975
642
83
Q93
Q8
JT9 AK875
A9765 QJT42
875 62
T6432
Q3
AKJT4
RHOはA,Kをキャッシュ。次にAを取る。4順目8−J−K−2。アレックスはここで1ダウンをクレーム。

○マッチポイントの評価
 私のビッドが、安全レベルの3をオーバーさせてしまった。幸いなことにオポーネントには4があるが、4をビッドしているペアはほとんどいないだろう。ダブルをかけられなかっただけましと。3MPと予測。(実際は4MP)
競り合いのビッドのむずかしさである。

「セッション2−ボード10」から
ボスバル
 KQ4
 975
 AQT
 AQ96
RHOパス−私1NT−LHOパスーアレックス5NT
これは7へのインビテーションとしか考えられない。そして私はマックスのハンド。7NTとビッドした。
アレックスはびっくりした。そしてまたRHOも。RHOの女性は5NTの意味を尋ねてきた。「分からない」と告白する。RHOパス。
OLは
  アレックス A32
   (N)  KQ3
        KJ8
        KJ53

  私(S)  KQ4
        975
        AQT
        AQ96
やはり5NTの意味は分からない。ただ、RHO(East)がAを持っていることは分かった。ダブルをかけなかった理由は分からないが。
 ともかくほとんどのペアは6NTをビッドして1440を取っているだろう。他の可能性は? で10トリックある。もしLHOがAを持っていれば12トリック、しかしRHO(East)がAを持っていれば11トリックしかない。
そして6NTをビッドしただれもが知らないAのありかを私だけが知っている。6NTはおそらくメークしないことを私は知っている。それ以上にその情報を活用できる立場にある。
 1順目、JをダミーのAで取り、2順目3をダミーからリードする。発想はシンプルで、もしRHOがJを持っていなければ彼女はAをあがろうとするだろう。やはりAで勝つ。そこでクレーム。
A32
KQ3
KJ8
KJ53
JT95 876
J862 AT4
653 9742
42 T87
KQ4
975
AQT
AQ96
○マッチポイントの評価
 驚くべきいい結果になった。6NTをビッドした者は全員ダウン。1ダウンで済んだペアがどれくらいいるかどうか。もし早い段階でフィネスに行き、Eastがスムーズにダック。デクレアラーがフィネスを繰り返せば2ダウンとなる。アベレージよりかなり上かもしれない。しかし9,10MPと置くのは良心が許さないので7MPと置くことにした。(実際は10.5MP)


この試合は結局優勝の結果になりました。
このようにいろいろなパターンが散りばめられています。もちろん、スクイズやすばらしいカードリーディングなども。ただ、やはり失敗した場合の対処方法に興味ありましたし、エスティメイトと結果がちがっていた場合、どうして違ったのかも検討されていてすごく勉強になりました。



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