Play a Swiss Teams Of Four

1982年刊行。99ページ。
最初にIMP戦とマッチポイント戦のちがい6点が整理して書かれていて、その後、7ボードX8試合(マッチ)が自戦解説風に展開されています。
 その違いとは、ゲームはアグレッシブにビッドするとか、パートスコアは落とせると思ったときは無理に競り合わないとかの通常よく書かれているちがいの他、「原則」として全てのハンドで相手を負かそうとしない、無理にスウィングを起こそうとしない、つまりあせらないで(普通にプレイし)ベストを尽くすことと書かれていることが印象に残りました。
 また、7X8の56ボードは1960〜1980年代の実際のハンドから選んだもので、IMPとは、その戦略とはいかなるものかを浮き彫りにすることを目指しているとのことです。
 σ(^_^)にとって勉強になりましたのは、常に各ボードごとにエスティメイト(Estimate)がなされ、このボードでは何IMP取ったのか取られたのかを裏の結果を予測しつつ計算して言っていることでした。エキスパートなら(そして中級者以上でも)おそらく誰でもやっているこのエスティメイトをどのようにやるのか、初めて具体的に習ったという感じで目からうろこでした^^
 何ボードか紹介します。

「第4ラウンド−ボード4」から
ベストチームとの対戦。
Weバル
 62
 A8
 A742
 AKJ92
LHOが3オープン。パートナーはパス。もしRHOがパスなら3NTとビッドしようと思っていた。しかし、不幸にもRHOが3NTとビッドした。この3NTがメークするとは思えない。しかし、私のビッドは難しい。ダブルはテークアウトになってを保証することになってしまう。また4も言えるが方向性がはっきりしない。長い目で見ればプラスになるとパスした。
AK874
Q9
KJT9
83
QT3 J95
KT7642 J53
Q865
T54 Q76
62
A8
A742
AKJ92
 KのOLから結局7ダウンの+350となった。最悪。4だと650、ダブルだと1100取れたところだった。
○このボードの分析
 裏のコントラクトは6か3NTでカード配置が良いので6はほとんどの場合メイクするだろう。このボードは8〜12IMPの負けとエスティメイト。ここでは△10impと置く。
((^_^)3 フムフム このようにエスティメイトしてれば、そもそもコントラクトやプレイの失敗についていろいろぼやいたりしている暇はなくなるはずですね^^)
(実際は裏は66メークで△14imp)
(第4ラウンドは1imp差で勝利)

「第6ラウンド−ボード4」から
Weバル
 KJ7
 9542
 KJT83
 
LHOの1オープンから
 1−パス−1−パス−
 2−ダブル−パスー?となった。
パートナーのこのダブルは明らかにテイクアウトダブルで、4144のハンドであることが予測できる。そしてまたバランシングのビッドではないのでパートナーはきっと良いハンドを持っていると想像できる。選択肢は3、4、5、さらにのコントラクトも考えうる。しかしで攻めてくるので、パートナーのは5枚は必要。最初にでオーバーコールしていないので、5枚は期待できない。
パートナーのハンドが
 AQxx
 
 Axxxx
 xxx
というミニマムのハンドでもゲームは期待できる。そこで5をビッド。
OLはK。
     QT65
     
     AQ97
     A865

     KJ7
     9542
     KJT83
     
ダミーを見てLHOはKにシフト。Aで勝つ。さて。を3枚ハンドでラフする方法。を3枚ダミーでラフする方法。先にAを追い出す方法。いろいろ考えられるがいずれも100%ではない。4−2、3−1ブレークだとダウンの危険もある。をハンドで3回ラフすることにした。2−2で5はメーク。600点。
QT65
AQ97
A865
842 A83
AK8 QJT76
54 62
KQT43 J92
KJ7
9542
KJT83
○このボードの分析
 裏でオポーネントがこの5コントラクトを見つけられるかどうかは分からないと思った。そこで+6impと評価。
(実際は裏も55メークでプッシュ)
(第6ラウンドは1imp差で勝利。)

「第7ラウンド−ボード1」から
ノンバル
 J3
 AJ7653
 
 AKJ63
LHOが4オープン。良いのオープンだということで、RHOが4にコンバート。ここでシャットアウトされるわけにはいかないので、最も柔軟な4NTをビッドする。LHOパス。パートナーは予期した通り5をビッド。そこで私が5と直そうと思っていたところ、RHOが5とビッド。私の4NTはマイナー2スーターではないので、ダブルして私のハンドが良いハンドでの2スーターであることを知らせようとした。パートナーには伝わらず6とビッドしてきた。RHOがダブル。ここでリダブルしてパートナーに伝わらずパスされるとまずいので6とビッドする。RHOはダブル。コントラクトは6x。
OLは
      
      Q9
      J986542
      8754

      J3
      AJ7653
      
      AKJ63
 オークションからは7−4ブレークと推測。6枚では4とはビッドしないだろうし、RHOもまた3枚では5とは競り合わないであろうから。また、KはRHOと予測。でないとLHOがダブルしたであろうから。ここまではほとんど明確である。
 さて。2枚をダミーでラフしたとき、が1ルーザーで済むのはRHOがKxのダブルトンかLHOがT8のダブルトンである場合のどちらかである。前者(EastがKx)の方がはるかにチャンスが大きそうだが、他の要素も考慮してみる。
 もしLHOのシェイプが7222ならば、RHOのがT8であることを期待してプレイすべきということになる。しかし4の台のオープンでこのシェイプは期待できない。Westがもっと偏ったハンドであって、なおかつ6がメークするためには、は3−2ブレーク、は3−1か2−2であることが必要だ。
 もし、EastがKxなら、は2−2ブレークでないと、もし1−3ならをフィネスせざるを得ないが、Kで勝ったEastがを出してWestにラフさせてしまうことになる。しかしが2−2ということはEastは4252ということになるが、すると5に5でなくダブルしたであろう。
 もしうWestがシングルトンだとすると?7321ならばどうしようもないが7231なら、そしてがT8なら、をフィネスしてA,Jとやればメークする。
 そこで、まずOLのをダミーでラフし、2を出す。EastがAを出し、私はラフ。Westからは2。Jをダミーでラフし、をリードし、Jでフィネスする。WestはすばやくQで勝つ。Westはを出してきた。これをラフして。。当初予定通りA、Jといくか、4−1ブレークを期待してAといくか。A−Tでラフ。でまた。RHOはさらに2トリック取る。△500。ひどい結果となった。
Q9
J986542
8754
AKQ7654 T982
T8 K42
QT3 AK7
T92
J3
AJ7653
AKJ63
○このボードの分析
 オポーネントは4までしかメークしない。裏のわがチームが4で買い取っているとはとても思えない。6が簡単にメークするし、7まである。なのでおそらくチームメイトもマイナスになるだろう。マイナス12〜16impと見る。ここではマイナス14impと置く。
(実際は裏も5xメイクで△15imp)
(結果は、37−29の8imp差で勝利)

このように続きます。全体を通じて、大きくマイナスしても決してあせらず冷静にビッド、プレイすることが大事であること、また得点の多くはすばらしいプレイより、ミスプレイから生じていることが分かります^^



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