Passed Hand Bidding

1989年刊行。217ページ。
パスハンドに限定したビッドの仕方について詳しく解説してあります。こういうパターン限定の解説書は他に見たことがないだけに興味深々でした。さすがにマイク・ローレンスの本だけあって、実に分かりやすく(英語自体も)、かつ体系的に解説されていて断片的に知っていたビッド方法をしっかり体系的に考えることができます。やたらむずかしいコンベンションを紹介しているのではなく、基本的な考え方、コモンセンスを身につけるためにとても良い本でした。
全体で10章構成になっています。
第1章 3番手でなぜライトオープンするのか
第2章 3番手でどれくらいライトにオープンして良いのか
第3章 パスハンドのビッドに当たっての3つのルール
第4章 4番手のオープン
第5章 3遍手のオープンに対するレスポンス
第6章 その後のオークション
第7章 フォーシング1NT
第8章 ドルーリー
第9章 ジャンプシフトレスポンス
第10章 復習のためのクイズ
少し紹介します。

第2章「3番手でどれくらいライトなオープンができるか」から
考慮要素ごとに事例を示して解説されていっています。
要素1:パートナーのスタイル
 サウンドがデンジャラスかどっちのタイプかをハンドのパターンごとに見分けるべく事例があげられています。
要素2:パートナーの予想されるレスポンス
要素3:どの程度お邪魔になるか
要素4:オープニングリードに役立つかどうか
 パス−パス−?ときて
A62 97 A54 JT865
 これはパス
JT865 97 A54 A62
 これは1。1自体プリエンプティブだから。
KQJT 862 542 976
 ノンバル対バルのときは1もありとのことです。
要素5:バルネラビリティー
要素6:ウィーク2オープンできるハンドかどうか
 パス−パス−?ときたときは、通常の1,2番手での建設的なウィーク2と異なり
 1.5枚のスートでもウィーク2オープン可能
 2.サイドのメジャーが4枚あってもよい
 3.ボイドがあっても良い
KQJ75 42 865 J54
QJ987 8643   Q643
 ノンバル対バルならばいずれも2オープンとのことです。
後のハンドは、ボスノンバルならばパスと書いてあります。

第3章「パストハンドのビッドに関する3つのルール」から
ルール1:ノートランプのリビッドはフルオープンのバリューが
 あることを示す。
 3番手でオープンし、パートナーのレスポンスに対して1NTとか2NTのリビッドをしたとき、あなたのハンドは10ptsしかないハンドではないこと、またパートナースートはシングルトンではないことを示します。

ルール2:パートナーの1の代のニュースートのレスポンスを
 パスするということは、そのスートに耐えられるサポートが
 あることを示す。
 P−P−1−P
 1−P−?
このときのハンドが
(a)865 AQT75 K64 J2
(b)QT AK75 7654 JT2
(c)3 KQT87 K976 J86
この3つのケースで
(a)ではパスOK。(b)でもまぁOK。しかし(c)のハンドの場合はどうビッドしてもパートナーをミスリードしてしまいます。このハンドはそもそも2オープンすべきハンドです。

ルール3:ニュースートのビッドやオリジナルスートのリビッド
 は通常フルオープンのハンドであることを意味する。

第6章「オークションの続き」から
 West  East
  パス    1
  1      2
このときEastはフルオープンバリュー+アルファのハンドを持っていることさえ示しています。もしフルオープンバリューでもミニマムであれば普通パスするでしょうから。
つまりEastは
QJ7 AJ87 42 AQ32 なら2
J942 J3 K76 AQJ7 ならパス
ただし、競り合いならレイズすることになります。
このパスすべきハンドでも次のような競り合いの場合には2とレイズすべきことになります。
 W  N  E  S
 P  P  1C 1H
 1S 2H 2S

第7章「フォーシングノートランプ」から
パストハンドでこそ、フォーシングノートランプのシステムはより良く機能するとしています。
そのシステム概要は次のようになっています。
サポートがあるときはドルーリー(Drury)を使うものとして、
1.パートナーの3番手でのメジャーオープンに対し
 (1)フィットしていればレイズかドルーリー
 (2)強いスートとハンドの強さがあるときはナチュラル
   にビッド
 (3)それ以外のハンドは1NTとレスポンス
   つまりパスハンドした人の1NTレスポンスはパートナー
   のオープンのサポートを否定し、セミフォーシング
   となる。
2.オープナーがバランスハンドの場合
 (1)良いハンドであるか、マキシマムなパスハンドだとゲーム
   が狙えるというときはリビッド
 (2)ゲームの可能性がないときはパス
3.オープナーがアンバランスハンドの場合
 (1)フルオープンハンドのときは通常のリビッド
 (2)フルオープンバリューがないときはパスできる。実際
   はりビッドすることが多い。しかしその場合、レスポン
   ダーはオープナーがフルバリューありとみてビッドして
   くることを覚悟すべき。

具体例として
 West  East
  パス    1
  1NT   2
  ?
Q7 542 AT875 Q43 これは2
Q7 542 AQT97 Q42 これは3
J7 J42 J8642 QJ3 これは2パス

第8章「ドルーリー」から
ここではノーマルなドルーリーとリバース・ドルーリーに分けつつ42ページにわたって解説がなされています。



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