Over Hoffman's Shoulder

2001年刊行。159ページ。
マルティン・ホフマンとマーク・スミス氏の共著による、自戦解説風、観戦記的な著述(これを「over the shoulder' format」と呼んでいます^^)で、ビッドからプレイまでが描かれています。
Terence Reeseの本からさらに物語性が進化していて、1年を通じての様々な実際の試合を題材にし、試合会場、対戦相手の描写もあり、自戦解説らしさに磨きがかかっています^^
いくつか紹介します。

○Chapter3「Too Many Trunmp Losers In Austria」から
(ビッド)
 オーストリアでのビエナ・ブリッジ・ウィークで、それほど上手ではないパートナーと組んで(頼まれて)参加したときのハンド。
ノンバルでパートナーのJolantaが1でオープンした。
私のハンドは、AT842 82 J3 KQJ4
RHOが1とオーバーコール。私は1。LHO−パス。パートナー−2。さて、どうする?
 3つの選択肢がある。パス、ゲームトライ、ゲームビッド。マッチポイントのゲームでは、プラスのスコアを確保することが勝利のための大事な戦略である。だからといってパスはあまりに消極的だ。Jolantaのオープンはライトオープンであることはないことを思い出し、ゲームトライをすることにした。3。パートナーから3と返ってきたので、そこで終了、コントラクトは3となった。
(プレイ)
WestからKがOL。
 North 653 AK63 Q42 AT3
 South AT842 82 J3 KQJ4
2トリック目、Weatは5をリードし、EastがAで勝って3順目のを回してきた。さてここで?
もしWestがトランプ()を3枚持っているなら問題は起こらない。Weatがラフした後、A、スモールで刈りあがるからだ。しかし、Westがダブルトンの場合は?Westが、KQ、QJ、KJのダブルトンの場合でもラフさせた後、A、フィネスでメークとなる。ただ、Eastの1オーバーコールからWestがQJ以外のダブルトンでを持ってる可能性はほとんどない。KQなどと持っていればWestは私の1に1NTとビッドしただろう。では、他の可能性は?
 他のオプションとして、Westがアナーと7のダブルトン、つまりK7、Q7、J7である可能性だ。これはQJであるケースと比べて3倍も可能性が高い。
 そこで、このどれかのパターンである可能性にかけて、Eastからの3順目の8でラフしてみることにした。WestはQでオーバーラフ。リターンをダミーで勝って、ダミーからを引く。Eastから9が出たのでTをかぶせる。Westは7をフォロー。ここでクレームした。全体のハンドは下図の通り。
653
AK63
Q42
AT3
Q7 KJ9
T954 QJ7
K5 AT9876
98765
AT842
82
J3
KQJ4
(ポストモーテム)
 デクラレアラーとしてプレイするとき、オポーネントのビッドからしばしば手がかりを得ることができる。パスも同様。今回はWestのローレベルでのパスから手がかりをつかんだ。9トリック取るベストチャンスはWestが3枚持っていること。アナー+7のダブルトンは付加的なチャンスで、それも視野に入れてプレイしてもなんら損はないということである。

○Chapter8「Whitch Aqueeze?」から
(ビッド)
 North American Bridge Championshipから。オポーネントはZia−Rosenberg。
バル対ノンバルで
私のハンドは KJ873 KT7 A8 AJ9
まずWestのZiaが3オープン。パートナーの中国人Jiahongがテークアウトダブル。EastのRosenbergは5
 選択肢は3つ。を切り札とすることは確定。5、6、7
私は、その中の中間の6を選択した。
(プレイ)
Westが奇妙な2のOL。Jiahongがはにかみながらダミーを広げる。
 North AQ942 A543 9742 
 South KJ873 KT7 A8 AJ9
で計2ルーザーある。これをどう処理すべきか。
が3−3ブレークなら4枚目のでハンドのをディスカードできる。しかしビッドからそういう穏当なブレークではなさそうだ。そこで1トリック目、ダミーからを捨ててEastのQをAで勝つ。2、3トリック目A、アナザー。これをEastはJで勝ってさらにQを出してくる。それをハンドのでハイラフ。
 ここまでで何が分かるか?もしEastのが4枚ずつなら、をダミーでラフしてを走ればEastがでシンプルスクイズにかかる可能性がある。
 しかしその可能性は薄いと判断した。オポーネントのコンベンションカードをチェックしたところ、リードは4thベストとなっている。にもかかわらず、OLの奇妙な2は何か?これはおそらくのアナーを示唆しているものと考えた。おそらくKTxxだろうと。
 切り札を2回回すとWestは1枚であることが判明。Ziaのハンドの形は1246であるかのように思える。この場合、Ziaをのスクイズにすることはできない。いずれのエントリーもないので。すると、今度はEastをで圧迫できる可能性がある。WestはKを持っているだろうが、EastもTを持っている可能性がある。とすれば、のガードをEastにトランスファーする必要がある。そこでJをリードする。WestがK、それをダミーでラフ。次に4枚目のをラフしでダミーに入ると下図。
A54
J8 Q96
87
KT7
最後のでEastがスクイズにかかった。

と、この他も、カウント、エンドプレイ、カードコンビネーションなど様々な手筋と読みが疲労され、興味関心はとどまるところありませんでした^^



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