Commonsense Bidding

1986年刊行。216ページ。1987年ブリッジブックオブザイヤー受賞作です^^したがって、文章は平易で読みやすく、かつ理論的ということです。5枚メジャーシステムに基づくビッド方法が述べられています。1−3がゲームフォーシングという極めて古典的なビッドスタイルですので、それ自体はあまり勉強にはなりませんが、そういうコンベンション的なことよりも、もっと基本的で万人に必要とされるハンド評価などのコモンセンスを磨くのに適した本だと思います。
全体構成は
第1章 ハンドをどう評価するか
第2章 ノートランプのオープン
第3章 ステイマンコンベンション
第4章 1の台のスートのオープン
第5章 1の台のスートオープンへのレスポンス
第6章 オープナーのリビッド
第7章 レスポンダーのリビッド
第8章 プリエンプティブオープン
第9章 2の台のスートオープン
第10章 オーバーコール
第11章 テイクアウト・ダブル
第12章 ペナルティーダブル、リードダイレクティングダブル
第13章 バランシング
第14章 プリエンプト後の展開
第15章 競り合いのビッド
第16章 サクリファイス
第17章 スラムビッド
第18章 スコアと戦略
となっています。
いくつか紹介します。

第1章「ポイントカウント」から
○本著でのポイントカウントシステム
1.ハイカードカウント
   A:4ポイント K:3ポイント Q:2ポイント
   J:1ポイント
  全部で40ポイントになるので10ポイントがアベレージ
 ハンドになる。
2.ロングスーツカウント
   5枚カードのスーツ:1ポイント
   6枚カードのスーツ:2ポイント
   7枚カードのスーツ:3ポイント
3.ショートスーツカウント
   ダブルトン:1ポイント シングルトン:2ポイント
   ボイド:3ポイント
  このポイントは、トランプフィットが見つかった場合にのみ
 加算すること。また3枚サポートしかない場合は1ポイント
 減ずることとされています。

第7章「レスポンダーのリビッド」から
冒頭でこう述べられています。
 「レスポンダーの最初のビッドのキーワードは「discipline(規律)」である。レスポンダーは、パートナーと取り決めたビッディングシステム通りに正確にビッドすることが求められており、アンダービッド、オーバービッド、ギャンブルその他勝手にビッドしてはならない。これに対して、レスポンダーの2度目のビッドにおけるキーワードは「judgement(判断)」である。ややオアーバービッド、ややアンダービッド、テンポライズなビッドなど全体を判断してのビッドが求められる。」
 この後、いろいろなハンドとビッドの例があげられていきます。

第10章「オーバーコール」から
2の台のオーバーコールとしていろいろなケースの解説がなされています。
オポーネントが1オープン−あなた?
(a)64 AQT53 KQ9   752
(b)6  AQT53 KQ942 75
この2つのハンドを比較して
(a)はパス (b)は2
ディストリビューションのちがいが大きく、ハンド(b)はペナルティーダブルをかけられても3と逃げられるからとのことです。

第11章「テイクアウトダブル」から
 1−X−パス−?
ここでのレスポンスで
6〜9hcpのときは1の台でレスポンス
13以上はゲームビッドとかキュービッドとか強いことを示す
その間の10〜12hcpのときのレスポンスの注意点としてこう書いてあります。
 「アベレージプレイヤーの最も多い失敗の一つとして、10〜12ポイントあるときにジャンプしてレスポンスしないということがある。」とあまりにも明確に書いてあります^^
 73 KT94 982 AK64
このハンドでは、1−ダブル−パス−ここで2とレスポンスしなければならない。これは10〜12ポイントで は最低4枚保証のビッドであるということです。

第12章「レスキュービッド、SOSダブル」から
 9865 AQ3 A54 A52
このハンドで1オープン LHOがダブル、その後パスーパスであなたに戻ってきた場合、LHOのテイクアウトダブルを流したRHOは長いを持っていて危険と感じられる。そこで、あなたは「リダブル」をして、パートナーにより安全なコントラクトに逃げ込んでもらうようにするのが、「SOSリダブル」である。
 この場合、あなたのハンドが
 874 T9872 9763 
であれば、2とビッドすることになる。

 上記の場合との比較で、
 AK52 AJ6 4 AKJT9
ともっていて、1オープン−パス−パス−ダブルとRHOがダブルをかけてきた場合、この場合もあなたは「リダブル」することになるが、このリダブルはSOSリダブルではなく、競り合いに備えてあなたのハンドは強いハンドであることを示しパートナーに対して貧弱なハンドであっても競り合いに参加するよううながしているビッドである。 (^_^)3 フムフム

第13章「バランシング」から
 冒頭で、バランシングの目安として「3ポイントオーバービッドして良い」と書いてあります。

オポーネントの1オープンに対して
(a)954 KT2 AQT6 KJ8
(b)A63 QJ5 KQT  AJ94
ハンド(a)は13ポイントだが3ポイント足して16ポイントと計算して1NTとバランシングする。
ハンド(b)は17ポイントなので、20ポイントと再計算して「ダブル」から入る。

第14章「プリエンプティブビッドに対するビッド」から
AQT85 72 AQ4 952
こういうハンドを持っていて
RHO:3−あなたときたら「パス」
LHO:3−パートナー:パス−RHO:パス−あなたときたときは「3
この違いに注目。
後者の場合、(1)RHOがパスしたことによって、あなたのパートナーもあるていどの点数を持っていることが期待できるようになったこと、(2)仮にパートナーのが短かったとしても、RHOのをフィネスにかける位置にあなたはいるので、そう困ったポジションにはなりにくいことなどです。逆に言えば、ダイレクトなポジションでオーバーコールするためにはしっかりしたハンドである必要があるということになります。

 この法則をもう少し示すと
K8 542 T9763 AQ4
このハンドを持っていて
オポーネント3(LHO)−3(パートナー)−パス−?ときたときは、パートナーの3はしっかりりした6枚以上のいいハンドでしょうから「4」とビッドします。
しかし、3(RHO)−パス(あなた)−パスー3(パートナー)−パス−?ときたときは、パートナーの3はバランシングですから、あなたは「パス」することになります。

と、こういう感じで続きます^^



戻る

レビュー4へ

トップへ

次へ