The Abbot's Great Sacrifice

 2003年刊行。143ページ。Abbotのシリーズはσ(^_^)にとっては3冊目です。
 ブリッジの技術に関しては、ダブルスクイズやトランプスクイズなど相当高度なテクニックを披露しますが、あまりに型にはまり過ぎていて、しばしばそうでないオポーネントや初心者に痛い目にあわせられたりして笑いを誘います。
今回も全体で19章、話のまとまりとしては6〜7話というところでしょうか。
 少し紹介します。

第3話「Aelred神父の賢明なルール」
T43
AQ4
9843
KT5
J962 KQ7
9875 JT2
6 AK75
9763 J82
A85
K63
QJT2
AQ4
 W     N       E      S
 Abbot Michael Xavier Aelred
               1D     1NT
 パス    3NT     オールパス

OL:

 AbbotのOLに対し、RHOのXavierからはQが出された。
Aelredは考え出す。両手を使って難しそうに計算をはじめ、確信ありげにうなずくと、1順目のをダックした。Abbotは天井を見上げて「3NTのコントラクトでAをホールドアップするのに、どんな高度な計算が必要というんだ。。。」
 XavierからKが続けられて、Aelredは再び指を折りながら計算を始めた。これまでほとんど何も考えずにプレイしていたAelredが突然どうして考えるようになったんだろうとAbbot。
 ようやく計算を終えたAelredはKをAで取って、Qを流す。これをXavierがKで勝ってを出す。Abbotがを2枚取り、さらにAが取れてコントラクトは1ダウンとなった。
Abbot「なんちゅうダミープレイ!もう1回ホールドアップしてXavierのをなくせば3NTはイージーメークなのに。」
Aelred「今回のカード配置だと、その通りです。でも私のプレイは全く正しい。これは保証します。」
Abbot「はぁ。(この男は病気?)」
Aelred「おばが「ルール・オブ・セブン」を教えてくれたんです。つまり、ダミーと自分の持っているスートの枚数を足して7から差し引いた数が「A(エース)」をホールドアップすべき回数だというものです。とてもすばらいいアイデアなんです。」
Michael「その通りなんですよ。」
Xavier「Abbotの言うとおり、2回ホールドアップすればメーク。」
Aelred「いや、ルールはルールです。エキスパートもこのルールを使っているらしいです。そしてまた、ベストプレイをしてもしばしばダウンの結果を招くものです。」
Abbot「。。。」

第12話「Brother Aelred's Glimpse of Heaven」から
 プレイ前の会話
Lucius「Aelredはひどいプレイをします。この前なんか、トランプを刈り忘れていて、ウィナーを私がトランプでラフしたら、なんと彼はトランプを刈ったとき私がリボークしたに違いないというんですよ。」
Abbot「しかしAelredは私との対戦のときはいつもきちんとやるんですよねぇ。。」 
KJ
952
JT4
AQ942
T73
J76 KQT843
8532 AQ9
T75 KJ86
AQ986542
A
K76
3
W      N       E      S
Xavier Michael Abbot  Aelred
               1H     4S
Pass   4NT     Pass   5S
Pass   6S      All Pass

OL:

Michael「Aelred,あなたのジャンプビッドを聞けばスラムトライをしないわけにはいきませんでした。」
Abbot「しかし、に2ルーザー出るかもしれないですよ、そのハンドは。」
Michael「Aelredはに2ルーザーあって4とは言わないと思いました。ま、ともかく彼がAを持っていることを期待して4NTと言ったんです。」
Aelred「グッドビッド、パートナー。で、私はAを持っています。」
でプレイに移ります。Aelredは1順目をAで勝って、K,Jと取った。4順目「スモール
Abbotは考える。デクがシングルトンであることは明らかだ。でははどうか。もしAelredのが3枚ならここでAをあがってしまうのは失敗だ。後でQをフィネスされるから。ではが2枚だと?そのときはを2枚持ってるだろうから、いずれをフィネスにくるだろう。が1枚なら?そのときは3枚持ってるのでに2ルーザー出るだろう。
ここまで考えて、Abbotは9を出した。AelredはKで勝って、さて。メークはのフィネスにかかっているが、Eastがオープンしてることから見て成功の可能性は高くはなさそうである。ともかく、トランプを走ってみることにした。何かいいアイデアが浮かぶかもしれないと。残り4枚で下図のような形になった。
JT
AQ
83 AQ
T7 KJ
5
76
3
最後のトランプ(5)を回して、AelredはダミーのJを捨てた。
EastのAbbotは難しい立場に立たされた。Qを捨てるとでスローインされてしまう。そのようなテクニックをAelredが使えたらだが。Jを捨てるのは?AelredのようなレベルだとかえってKがシングルトンっぽいと見つけられっる可能性が高い。なので、ここでは、スローインが効いていないように思わせるAのディスカードがベストプレイだ。Abbotはそう考えてAを捨てた。
さて、ここでAelredはをフィネスしようとしたが、この段階でAbbotがAを捨てたことに気づいた。Abbotはもしかしてスクイズにかかったのかな。Abbotがのトップカードをみんな捨てていたとすればダミーのJがエスタブリッシュしてるかも!
 Aelredは必死で何が捨てられたか思い出そうとした。しかし、よく分からない。そこで確率で考えることにした。Qがまだあるかどうかの確率はまぁ50%くらい。これに対して、Abbotはオープンしているのでフィネスが成功する確率は低い。
 ベストを祈ってAelredはをリード。ダミーのJがAbbotのQに取られたときAelredは肩をすくめた。スローインさせないようにするためのAディスカードが、逆にJがエスタブリッシュしたと考えさせてしまったとは。。
「残りの2枚を負けます」とAbbot。
「すばらしいストリップスクイズ!」とXavier。
 なんとかわいそうなAbbotでしょう^^
 こういう感じで物語が続いていきます^^



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