Dynamic Defense

 この本が他の本と違うところは、実際のゲームのように、ビッドかた始まって、コントラクトが決定して OLが出されてというふうにリアルな展開になっていることです。プレー開始後のハンドもダミーと自分のハンドしか見えなくて、さてここでどう考えどうプレーするといった具合に、臨場感あふれており、現実にプレーしているかのように考えることができる点です。そして、最後に、Farther Anarysisとしてさらに深いあるいは始点を変えての解説がなされているのもためになります。
 技術としては、σ(^_^)がすでに実戦で用いているものもありますが、そうでないものも多く、眼を開かされたものも結構ありました。
1題、参考までにのせておきます。
NO.12
  A72
  AK942
  QT4
  T6
 あいてVulで 私は2番手で1でオープンした。LHOがダブル。パートナーが3にレイズ。RHOがダブル。これはレスポンシブダブルとのアラート。私はパス。LHOが3。パートナーのプリエンプティブ3Hレイズに対し、いまいちのハンドなので、その後パス−パス−パスとなった。
パートナーのOLは
Q984
83
J5
AQJ43
A72
AK942
QT4
T6
私はKで勝ってAもキャッシュ。するとディクレアラーからQが落ちてくる。Aで3トリック。あと2トリックは、で2個かで1、でもう1個。
 ここでトランプをリードすべきか。これはPがダブルトンJをもっていたときにSJを殺してしまうかもしれないので危険である。
 でははどうか。これは確かに可能性がある。PがKを持っていれば、1、これに加えてでもう1トリックの可能性がある。またPがAを持っていてデクが不用意にKを出せば、直ちにで2トリック取れる。もしPがAを持っていたとして、ここでただちにをリードすることが必要かどうか。デクはルーザーをディスカードできるだろうか。
否。デクのはおそらく4枚。これにが2枚。残りは7枚。これは何を意味するだろうか。
 デクのマイナースーツのディストリビューションがどうなっていても、ルーザーは処理できないだろうと推測できる。例えば、4枚、3枚と仮定した場合、デクのハンドので2枚ディスカードできても、なお2枚残る。したがって、PがAを持っていたとしたら、デクは最後にで2個取られることになる。したがって、ここでをリードして失うものはあっても得るものはない。
PがKを持っていたとしてもこの状況に変わりはなく、ここでをリードする理由にはならない。
 100%そういい切れるのか。いや、もしデクがを5枚持っていたり、を3枚もっているときはデクのマイナースーツは6枚となるので、この作戦は失敗となる。ではその可能性は?ほとんどない。
 では、を2組取った後の正しいプレーは?
 ここでのベストプレーはTである。デクはダミーのJで勝って、をリード。私はそれをAで取って再び。デクはを刈り上げて、を5枚取ったが、結局最後ダミーからをリードせざるを得なくなって、私のQが5トリック目となった。
63
JT75
A932
952
KJT5 Q984
Q6 83
K876 J5
K87 AQJ43
A72
AK942
QT4
T6
Further Anarysis
 ディフェンスでは、しばしば新しいスーツを開発すべきかどうか決めなければいけなくなる。そういうときは、ディクレアラーのトリックをカウントすることでどうすべきか分かることが結構ある。このハンドのように、デクが結局は自らそのスーツ()をさわらざるを得ないことが分かるときは、デクにプレーさせるようにすべきである。
では、ビッドとハンドを少し変えて見よう。
Q984 ビッド
 W N E S
 1SP 2C2H
 3CP 3SP
 4SP P P
83
J5
AQJ43
A7
AK9764
QT4
T6
パートナーが2をOL。KAと取るとデクはQ,Tと出してきた。
こういう場合は、次にをリードするのが正しい。PがKを持っているときには、デクが4、1、5の計10トリック取ってしまう前にで1トリック取れるようにしておく必要がある。PがAを持っていたとしても、結局では1トリックしか取れないのだから、デクがをさわるまで待つ必要はない。
 この2つのハンドの重要な相違点は、マイナースーツの長さである。最初のハンドではデクのマイナースーツの長さは7枚だったので、を5枚走られてもなおが2枚残る可能性があるのに対し、後のハンドではを5枚走られるとデクのマイナースーツはあと1枚ということになる。この違いをよく知っておく必要がある。
こんな感じです^^こういうパッシブなディフェンスは後でも出てきて、目からうろこという感じでした。また、トランプエコーの意味なども面白かったです。



戻る

レビュー2へ

トップへ

次へ