Moments of Truth at the Bridge Table

2003年刊行。159ページ。
実戦から題材を取っていて、「思考過程の解説しつつ」「真理を発見する時(瞬間)」を描き出しています。
各題材ごとに、プレイ過程の詳細な分析がなされており、最後に、その分析結果をもとに教訓が枠囲いでしるされていっています。
いくつか紹介します。

○「An Ear to the Ground」
ディーラーN ボスバル
KT854
765
J764
Q942 K765
Q63 A97
T4 KJ83
QT92 A5
AJ83
J2
AQ92
K83
このハンドをめぐって4テーブルで全く違う結果が出たその過程が紹介されています。
テーブル1
 W   N   E   S
     パス  1NT X
 パス  2H  オールパス
ウェストのOLはA、でスモールを続ける。Kで勝ったサウスは考える。EWが8枚フィットしていて21hcpあるのに競り合わなかったということは、は4−4ブレークに違いない。ハンドパターンを正確に推理したサウスは3、4順目A、ラフ。をフィネスしてラフ。Aでハンドに入ってラフ。ここまで7トリック。結局Kが8トリック目になった。

テーブル2
 W   N   E   S
     パス  1NT X
 パス  2H  パス  パス
 X   パス  2S  オールパス
サウスはJをOL。J−Q−Kここでイーストはなんとダック! 少考の後ノースはスモール、イーストの9が勝つ。ここで、イーストは何とKをリード。サウスのAが勝ちノースからTが落ちる。サウスは4順目にしてエンドプレイにかかっていることを認識した。5順目3を出してみる。しかし、それが流されイーストの5が勝つ。9でダミーにわたりTを流す。Qで勝ったサウスはJで再びウェストに入れ返す。しかし、Jが来て勝つと再びエンドプレイになる。サウスはダック。イーストはAをキャッシュ。サウスはをディスカード。イーストはA、スモールとやって3たびサウスはスローインされた。A9からK8に向けてださざるを得ず、Kが8トリック目になった。

テーブル3
 W   N   E   S
     パス  1NT X
 パス  2H  パス  パス
 2NT オールパス
サウスのOLはJ。J−Q−K−A
イーストはを出し、ダミーのQが勝ちノースからTが落ちる。3順目ダミーからT。これをサウスは巧みにダック。続くJをQで勝って、サウスから。ノースがTで勝って3回目の。サウスはを2個取ってスモールを出す。ダミーのQが勝つ。イーストはダミーからスモールをひいて、ノースがダブルトンJTであることに望みを託した。しかし現実はそんなに甘くはなく、KをAで勝ってAを追い出し、後でKとJを取り2ダウンとなった。

テーブル4
 W   N   E   S
     パス  1NT オールパス
サウスのOLは2。イーストが8で勝ち、を出しダミーのQが勝つ。ノースからTが落ちる。やはりJTダブルトンを期待して3順目ダミーから、ノースはをディスカード。KをAで勝ってJ−Q−K−A。イーストは3回目のJで勝って4枚目のでウェストの9が勝つ。ダミーからTがサウスのQに。サウスからスモール、ダミーから9がひかれ、これにノースはカバーせず。ここで7個目のチャンスが生じたが。。(ここまでEWの5勝3敗)
   
   T8
   
   J76
      
63    97
      KJ
QT2   
   
   
   A9
   K8
ここでA,Jとやったために、A,Kと出されてイーストがのスクイズにかかってしまい、5トリック中4トリックを取られて1ダウンとなってしまった。

教訓:パスも含めた全てのコール、そして全てのカードがメーッセージとなる。そのメッセージを感じ取り、正しく分析(翻訳)することがブリッジの本質(エッセンス)である

○「Nine is Easier than Five」から
 2001年のインドナショナルのハンドとのことです。
A64 ビッド

W  N  E  S
   P  P  1N
2C 2N P  3N
オールパス




※2:ランディー(ボス
    メジャー) 
9752
Q93
QT9
K853 T72
QT83 J4
K8762
AKJ4 853
QJ9
AK6
AJ54
762
 サウスは15hcpだが、ウェストのランディーで配置がある程度分かるので2NTのインビテーションにのって3NTとビッド。
 ウェストのOLはハイ、次のスモールをダミーのQで勝って、ダミーからローを引いてJを出すとそれが勝ってウェストからTが落ちてきた。メーク可能性が高くなった。
ランディー2がメジャー4−4を保証するとすれば、ウェストは4441のディストリビューションで、かつでは3トリックしか取られないということになる。Kに負ける余裕があるということだが、トリックは2、2、3、1とまだ1トリック足りない。もう1トリックをどこで捻出するか。
 2つの道筋を考える。 もしウェストが4414なら、イーストは3253になる。するとウェストはを守らざるを得ないので、が続いたときのディスカードが難しくなる。もう1つの道は、ハンドの9に注目して、ウェストがK、イーストがTを持っている場合まずウェストのKを捕まえて、その後イーストのTをフィネスする方法である。
 そこで、4順目ハンドからQをプレイ。しかし賢明にもウェストはダックした。プランAは使えなくなった。そこで、プランBに移る。ハンドからを出してダミーの9。イーストはKで勝つ。ウェストはをディスカード。ここでウェストが長考。返しても3トリックしか取れそうにないこと。このままいけばパートナーのウェストがでスクイズにかかってしまうことを読んで、スクイズを破るためにはしか可能性がないと理解しJを出した。
 サウスはAで勝って、Qを取り、Kでハンドに戻って、Aを取った。残り4枚ウェストがを捨てて残りを2枚、1枚、1枚を残したので、でウェストにスローインすることにより、Kxからリードせざるを得なくなって3メークとなった。
 もしイーストが6順目Jの代わりにをリターンしていたら、4枚目に何を捨てた?と質問したら、サウスは、そのときは「プランC」を用意していたと答えた。4枚目に双方からを捨てて、なお3メークとなると。
      A6
      975
      
      
 K8
 QT83
 
 
      J9
      AK
      A5
      
ここまでNS3勝、EW4勝。ウェストのリードで、が来る。Aで勝ってQ、K、Aとやって残り3枚から何を捨てるか。ウェストはのスクイズにかかっているというわけである。
非常に高度なプレイテクニックと実戦での思考過程がたいへん分かりやすく興味深く述べられています^^



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