(ブックレビュー詳細)

Hand Evaluation

次の「オーバーコール」とセットとも言うべき内容で、ビッドの過程にお
いて自分のハンドを評価しなおしていくことの重要性と方法論が詳細に述
べられています。他の本では、全く触れられていなかったり、あるいは、ここに書いてあることが当然の前提になっていたりするビッドの基本の基本
ともいうべき原理が展開されています。
序文で Alfred Sheinwoldという人が「上手なプレーヤーはポイント(絵
札点)のみに頼ってはいない。役に立つ点と立たない点があること、Aの
特別の価値、10,9といったカードの有用性、ディストリビューション
がポイントカウントに与える影響なども考慮している。これをこの本を読
んだあなたは同じように考えることできるようになるだろう」と書いてあ
ります。かつ、3回は読み直したほうがいいとも。。 
で、冒頭にQ72とあなたが持っていたとして、
 1−1NT−P−あなた
 1−P−2−あなた
 P−1−P−あなた
など6種類のビッド例をあげて、ビッドによってあなたの「Q72」の価値はセロあるいはマイナスから6〜7ポイントまで上下する。どうしてそうなるのかみていこうと書いてあって、スタートしていきます。
第1章 絵札や枚数の基本的な考慮事項について
第2章 ほとんどあらゆるビッドパターン(ディクレアラーである場合から
 LHOがオープンしてRHOがレーズしたケース、間にPのオーバーコールが入ったケースなど)でのハンド評価について
第3章 ハンドを弾力的に評価し価値を上げ下げするためのガイドラインとして「The Box」と「Shell Points」を
第4章 トランプに点が集まりすぎたり、ミラーハンドだったりしてマイナス
 評価となる事例を
第5章 スプリンタービッドを使ってハンド評価方法を分かりやすく解説
第6章 弱いハンドの評価
第7章 良い、バランスハンドの評価
第8章 良い、アンバランスハンドの評価
第9章 練習問題
となっています。
いくつか興味深いところのさわりを紹介します。
第1章「Evaluating Common Holdings」
 オポスーツについてあなたが持っている枚数の評価について
 Rule オポがあるスーツをビッドしたとき、あなたがそのスーツを持っている最悪の枚数は「3」枚である。なぜならば、3は最大のルーザー数であるからである。
 Rule オポがあるスーツをビッドして、それがレーズされたとき、あなたの最悪の枚数は「2」枚である。なぜならば、3枚もっていればパートナーは1枚しかもっていない可能性があるが、2枚だと2ルーザーになってしまうからである。
 この基本は、「オーバーコール」でも下地になっていて、同じように必要的
 考慮事項になっています。
第2章「Common Evaluating Situations」
 LHOがオープンしてPHOがレーズしたケース
 Rule そのスーツであなたが持っている浪費絵札は価値がないのみならずマイナス評価となる。1ーP−2ーあなた となったような場合、もしQxとか持っていたら、その2hcpは0hcpとなるのみならず、もしその絵札がなければパートナーの他のスーツに2hcp分上乗せできるかもしれないという意味においてマイナスとなる。
  また、AやKを持っていても、それに続く小さいカードがエスタブリッシュ
 できないことからこれまた価値は下がる
  その例として
    1H−1S−2H−2S(あなた)−パスアウトとなった場合
    (あなたのハンド)
      Q762
      
      8654
      Q863
    (パートナーのハンド)
      AJ953
      AJ2
      K93
      92
  こういう組み合わせだったとしたら、2S、3Sもできるかもしれないが
  1メークしかしないかもしれない。
  ここで、あなたのKをに、パートナーのAJをに移すと
    (あなたのハンド)
      Q762
      
      8654
      KQ63
    (パートナーのハンド)
      AJ953
      T82
      AK3
      J2
  こうなると、4Sはほとんどコールドで、5メークまであるかもしれない。
  実際は1枚ずつ移動させて、その変化を詳細に説明しています。
いままで、このような観点から詳細に書かれた本など読んだことがありませんでした。試行錯誤しつつ自分自身でいろいろ考えてきたことが、もっと体系的にかつ目新しい観点も含めて解説されていて 感激しました。



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