Human Bridge Errors

2007年刊行。232ページ。
 設定は、アメリカの「Orttman科学振興財団」という架空の機関が作り出した「Chthonic」というブリッジ専門のロボットが、人類相手にブリッジ上達のコツをしたためた本を書くというものです。前作「The Principle Of Restricted Talent」は、Chthonicの誕生からプレイを記録しつつ紹介するという設定で、2005年のブリッジ・ブックオブザイヤーを受賞したとあります。この本は二作目ということのようです。
 アマチュアがおこしやすいミス、ビッド、ジャッジ、サミープレイ、ディフェンスが掲載されていっています。確認的なものから、新しい発見と刺激してくれるもの、さらには全体の考え方をわかりやすくまとめたものまでいろいろ書かれています。単にチップ的に結果だけが書いてあるのでなく、一つのテーマを掘り下げてありますので、いろいろ考えるのが好きな方には興味深いでしょうし、ビッドシステムを形だけで覚えている方には本質に立ち返って考えてみることができる良い本だと思います。日本語で出版されればと。。。
全体構成は
第1章 システム構築、パートナーシップ構築上のエラー
第2章 ハンド評価上のエラー
第3章 コンストラクティブなビッドでのエラー
第4章 競り合いのビッドでのエラー
第5章 デクレアラープレイでのエラー
第6章 ディフェンスでのエラー
第7章 その他のエラー
となっています。
いくつか紹介します。
 第3章 エラー13「パスハンドのパートナーのビッドをレイズしないこと」から
          A1076
          K965
          K9
          A87
    K93   ┏NN┓J
    87    W  E QJ432
    A1043 W  E J762
    Q1094 ┗SS┛J63
          Q8542
          A10
          Q85
          K52
ビッドは、イーストから
 パス−パス−パス−1
 パス−1 −オールパス
OLは8。結果的に6メークとなった。
ポストモーテムで
ノース「どうしてオープンしなかったの?」
サウス「11pts.でしかも悪いハンドだったから。それよりどうして2
     レイズしなかったの?」
ノース「2はインビテーションになりますよ。あなたはパスしているから
    持っていても最大12pts.なのでしょせんゲームはない。まして
    もしあなたが6pts.しかもっていなかったら2は上げすということ
    になってしまうでしょう?」
サウス「もし私が6pts.しかもってなかったら、そのときはオポーネントが
    バランスしてきて、3までビッドされたとすると、そのときもパス
    しますか?」
ノース「いや、3とビッドします。オポーネントにコントラクトを盗ませは
    しない!」
Chthonic「人類とはなんと奇妙な生き物であることか。2とビッドするほど
   強くないといいながら、パートナーがエキストラバリューを示さなくても
   3とビッドする強さがあるという。。」
さらに解説を続けます。ノースのエラーは、オープンが軽く軽くなってきいる現代のオープンの傾向と並行した最近はやりのビッドスタイルに影響されているといえる。つまりパスは非常に弱いハンドのあらわれと決めつけてしまうということだ。しかし、すべてのハンドは各ディールの一部分であり、ハンドの価値はオークションによって上がったり下がったりするのである。
→教訓:パートナーがパスハンドというだけの理由で、通常するサポートを
     しないことは間違いである。

第3章 エラー15「不適切なハンドでのウィーク2オープン」
「10アンド1」(The Guideline of Ten and One」という考え方が紹介されています。
 これは、ダミーとなるパートーナーのハンドがトランプ1枚で10pts.持っている場合であっても、まずいと思うようなハンドであるときはウィーク2でオープンしない方が良いというものです。

この他
「7pts.7枚スーツのハンドはいつもプリエンプティブオープンに適しているとは限らない。」
「ブラックウッドはアスキングビッド、キュービッドはテリングビッド。自分のハンドを示さなければならないときに、アスキングビッドをしないように。」
「ローオブトータルトリックの不正確な理解−トランプの長さがすべてではない」
「シグナルにおけるアティテュード(カモン)シグナルの意味のとり違い」
など、いろいろ興味ある記述もなされています^^



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